GP2シリーズに参戦するロシアン・タイムのチーム代表、スヴェトラーナ・ストレニコヴァは、GP2がF1にもっとも近いシリーズという発足当初の位置づけが、現在は“不明瞭”な状態になっていると述べた。
ここ数年、GP2のチャンピオンが直接F1に昇格することが少なくなり、マックス・フェルスタッペンとランス・ストロールはヨーロピアンF3から昇格し、エステバン・オコンとダニール・クビアト、バルテリ・ボッタスの3名も、直下カテゴリーであるGP3のタイトルを獲得後、GP2へ参戦することなくF1へ昇格した。
ストレニコヴァは、近年のF1昇格に関する潮流が、シリーズの存在価値に疑問を投げかけていると考えている。
「F3からF1へ直接ステップアップするなど、近年はGP2を経由せずにF1へ昇格する流れができつつあります。その流れが、GP2に参戦するチームの運営を困難にしています」と述べる。
「現在は、GP2がF1昇格のためのカテゴリーとして機能しているか不明瞭な状況となっています。もし、入門カテゴリーから直接F1へ昇格できるのだとすれば、他のシリーズは何のために存在するのでしょう?」
「数年前までは、明確な(F1昇格への)ピラミッドが確立されていました。レーシングカートを卒業し、小さなフォーミュラカーを経験しF3へステップアップ。その後はフォーミュラ・ルノー3.5(現在の名称はワールドシリーズ・フォーミュラV8 3.5)またはGP2へ昇格という道筋です」
「ですが、今日ではGP2とフォーミュラV8をスキップする傾向にあるため、シリーズの存在価値に疑問が生じています。フォーミュラV8は高額の参戦費用が必要です。我々GP2はそれよりもさらに高額で、参戦に対するハードルも高くなっています」と指摘した。
ストレニコヴァは、カーリンがGP2からの撤退を発表したことを指摘するとともに、2011年に導入された現行のマシンがアップデートもしくは、新車の導入が必要となった場合の懸念事項を述べた。
「今や、参戦するチームがひとつ減り、ドライバーとの契約も困難な状況となっています。また、1年後には新車が導入されることでしょう。それはチームにとって予測困難で、好ましくない状況を招く恐れを秘めています」と懸念を示す。
「単純に費用の問題も生じます。新車や、新たな機材を購入する必要がありますからね。ドライバーの持ち込み金なしでは、それらの購入資金を賄うことはできません」
チームに所属するロシア人ドライバー、アルテム・マルケロフがGP2への参戦を取りやめた場合、チームの将来に影響するかと問われたストレニコヴァは「もちろん」と答えた。
「ですが、問題の本質は、本当にGP2が2018年に新車を導入するのか? そして、シリーズの立ち位置に変化は生じるか?というところにあります」