2017年01月29日 11:03 弁護士ドットコム
大学生ら15人が犠牲になった長野県軽井沢町のバス転落事故が2016年1月15日に発生してから約1年を経たことを契機に、日弁連は1月28日、東京・霞が関の弁護士会館で、繰り返されるバス事故の原因と対策を考える集会を開催した。事故でゼミの学生4人が亡くなり、6人が負傷した法政大学の尾木直樹教授が登壇。「彼らの無念や悔しさをどういう姿勢で受け止めていくべきか、ずっと考えていきたい」と述べた。
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尾木教授は、事故で亡くなった学生4人の写真を、常に鞄に入れて持ち歩いている。「4人の若い命、可能性の塊が前途を閉ざされたと社会は受け止めてくれた。でも実際は、彼らはすでに今を素晴らしく、花開いて生きていた。そんな命を無駄にすることがあってはならないし、大学としても、どう教訓化していくか真剣に考えている」。
遺族は、今も深い悲しみの底にいる。「解約したらもう連絡を取れなくなる」と、亡くなった子どものスマートフォンの契約を解除していない遺族や、大学に授業料を納め続けている遺族もいるという。負傷した学生も心身に深い傷を負った。事故から1年を迎えるにあたり、彼らへの取材依頼もあったが、尾木教授は「直接取材は傷を深くするだけ」と断り、全て自分が代弁してきたという。「取材に応じること・発言することができないほどひどい状況。1年経ってもまだ、渦中にいる」。
この事故をめぐっては、バス運行会社のずさんな安全管理や、低賃金、長時間労働といったバス運転手の厳しい勤務実態が問題視された。尾木教授は、「運転手さんも観光業者もバス会社も、気持ちよく運転ができ、それでいてきちんと生活もできるようにする。日本で、そういう社会が実現できないはずがない。私たち1人1人が考えて取り組んでいくべきだ」と呼びかけた。
(弁護士ドットコムニュース)