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「週末映画館でこれ観よう!」 今週の編集部オススメ映画は『キセキ ーあの日のソビトー』

2017年01月29日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)2017「キセキ ーあの日のソビトー」製作委員会

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品をプッシュします。


参考:日本のアニメーションはキャズムを越え始めた 『君の名は。』『この世界の片隅に』から考察


■『キセキ ーあの日のソビトー』


 ドラマ『ROOKIES (ルーキーズ)』(TBS系)では、平塚平(桐谷健太)が好きだった戸塚がオススメする作品は、『キセキ ーあの日のソビトー』。


 GReeeeNの楽曲である「キセキ」の誕生にまつわる秘話を、松坂桃李&菅田将暉のW主演で映画化した青春物語。GReeeeNのプロデューサーとリーダーである兄弟・ジンとヒデが、家族や仲間との衝突を経ながら、自分たちが進むべき道を切り開いていく模様を描く。


 GReeeeNと言えば、個人的には世代ど真ん中。特に「キセキ」を聴くと、中高生時代、青春真っ只中の思い出が蘇ります。GReeeeNのファンでなくとも、一度は耳にしたことがあるだろう「キセキ」。そんな誰もが知る名曲が生み出されるまでには、私たちが知らないドラマがあったのです。


 悩み、葛藤し、笑い、叫び、喜び、泣く。何度も壁にぶつかって、諦めそうになって…。それでも誰かに支えられながら前に進んでいく。そんなGReeeeNの歌詞さながらのストレートすぎる青春が、同作には詰め込まれています。だからこそ、胸に響く。たとえGReeeeNのファンでなくても充分楽しめる作品となっています。


 また今、話題になっている、菅田、横浜流星、成田凌、杉野遥亮の4名から成る音楽グループ・グリーンボーイズも同作の見どころのひとつです。仲間と笑いあって全力で“今”この瞬間を楽しんでいる彼らの姿は、リアリティーがあるというより“本物”。役柄を超えて、彼ら自身が心の底から楽しんでいる様子が伺えます。彼らグリーンボーイズの歌声はもちろんのこと、ジン役の松坂桃李が歌うシーンにも注目してもらいたいです。いつもの松坂とはまた違ったかっこよさがとても魅力的でした。


 「明日、今日よりも笑顔になれる 君がいるだけで そう思えるから」という歌詞のように、たくさんの前向きな“愛”が描かれている『キセキ ーあの日のソビトー』。鑑賞後には自分の青春時代を思い出しつつ、爽やかな気持ちが訪れるはずです。


■『タンジェリン』


 リアルサウンド映画部の二次元担当の泉がオススメするのは、L.A発のトランス・ストリートムービー『タンジェリン』。


 「すべてがF**Kなクリスマス・イブ」というキャッチコピーが、この作品のすべてを物語っていると言えます。28日間の服役から戻ってきた娼婦でトランスジェンダーのシンディは、出所早々に友人から彼氏が浮気していることを教えてもらう。ブチ切れたシンディは、浮気相手の金髪白人女を探すために、勢い良く街に飛び出していくのだが……。


 出てくるキャラが、強烈な個性を持っているのがこの作品の特徴のひとつ。主演のキタナ・キキ・ロドリゲスや親友役のマイヤ・テイラーは実際のトランスジェンダーで、彼女たちが繰り広げるFワード連発の会話劇はテンポも良くて単純に笑えるのですが、実は物事の本質を鋭くついていて時折ハッとさせられます。登場人物たちのエキセントリックな生き方と、自身の生き方を重ね合わせることは難しいかもしれない。でも、性的マイノリティの厳しい現実に立ち向かう中で、本物の友情を見つけていく彼女たちの姿は尊敬に値するし、それぞれが持つ恋愛や仕事の悩みには共感できる部分も多いはずです。


 また、全編をiPhone5sで撮影しているところも挑戦的で面白い。アナモフィックレンズという特殊な機材を装着したレンズで撮影されているため、一見しただけでは気付きにくいかもしれないですが、携帯電話ならではの構図や演出よって、ロサンゼルスの街並みの臨場感やその場の緊張感がよく再現されています。彼女たちと一緒にロサンゼルスの街を巡り、大騒動に巻き込まれているような擬似体験が、きっとできるでしょう。


(リアルサウンド編集部)