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『ラ・ラ・ランド』来日記者会見速報 R・ゴズリングと監督が日本映画へのオマージュ明かす

2017年01月27日 14:53  リアルサウンド

リアルサウンド

(左から)デイミアン・チャゼル監督、ライアン・ゴズリング

 第89回アカデミー賞にて13部門14ノミネートを果たした『ラ・ラ・ランド』の来日記者会見が、本日1月27日都内にて行われ、主演のライアン・ゴズリングとデイミアン・チャゼル監督が出席した。


参考:『ラ・ラ・ランド』監督&ライアン・ゴズリング来日 ジャパンプレミアで“神対応”


 『ラ・ラ・ランド』は、『セッション』のチャゼル監督が手がけたミュージカル映画。夢追い人の街ロサンゼルスを舞台に、売れないジャズピアニストのセブと、女優志望のミアの恋の行方を描き出す。


 昨夜行われた『ラ・ラ・ランド』ジャパンプレミアに続いてマスコミの前に登場した2人。まずは、チャゼル監督が「日本に来ることができて光栄です。とても素敵な歓迎をしていただきありがとうございます。この作品は心から愛を込めて作ったので、日本の皆様に観てもらえることをとても嬉しく思います」と挨拶。ゴズリングも「『ラ・ラ・ランド』で来日ができたことには特別な思いがあります。日本の方はとてもロマンチックでミュージカル好きだと聞いています。なので、皆様にもこの映画を楽しんでいただきたいと思います」と日本への思いを口にした。


 本作においてどのようにビジョンを確立させたかという記者からの質問に、チャゼル監督はとても長いプロセスがあったと語りながら、「鍵になった瞬間はライアンと出会った時。ライアンはミュージカル好きで、話が盛り上がりました。その後、エマ(・ストーン)も参加してくれることになって、そこから3ヶ月間のリハーサルをしました。リハーサルと同時に、映画の準備も同じ場所でやっていたんです。なので、エマやライアンがダンスの練習などをしている時に、その近くでセットや衣装を作ったりしていました。文字通り、同じ場所で作品を築き上げていったのです」とスタッフとキャストの結束によるものだと説明。


 一方のゴズリングは、「一番話し合ったのは、あまりノスタルジックにしないこと。いかに現代的に、今の人たちの共感を得られるものにするかでした。キャラクターに関しても、演劇的にしないで、共感できるような人にしようと。かといって、ダンスの最中に空に舞い上がっていくような空想の部分もあるので、そのバランスをどう見せていくかが、非常にチャレンジングでした」と語った。


 ゴズリングは、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の『ドライヴ』や、デレク・シアンフランス監督の『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』などの作品に代表されるように、ダークな側面を持ったキャラクターを演じることが多い。そのことについての質問を受けたチャゼル監督は、「ライアンは何でもできる素晴らしい役者で、とても多様性がある。確かに非常にダークなサイコパスのような役もやってきたけど、『ラブ・アゲイン』や『ラースと、その彼女』のようなロマンチックな役もやってきた。映画の知識も豊富で、ミュージカルというジャンルに対しても深い愛情を持っている。つまり、この映画をやるのに必要な要素を全部持っていたんです」と大絶賛。ゴズリングはそれを受けて、「今のデイミアンのコメントの原稿は僕が書いたんです(笑)。もっと情熱的に言ってほしかった」とジョークを飛ばし、会場を笑わせた。


 本国アメリカで大ヒットしている要因を聞かれたチャゼル監督は「ミュージカルには、他にはない楽しさや楽観的な部分、恍惚感があると思う。と同時に、この作品には現実的でリアリスティックなストーリーが必要だと思ったんです。叶う夢もあれば、叶わない夢もあるという部分が人々の心を捉えたのだと思います」と分析。一方、ゴズリングは「映画は映画館で大勢の人たちと一緒に観るもの。スマホで観るものではないので、そういうものを作りたいと監督と話していました。多くの人たちが実際に映画館に足を運んで、大勢の人たちと一緒に作品を観て、同じ体験をする素晴らしさ。それを実現できたことがとても嬉しいです」と映画愛を語った。


 また、本作には様々なミュージカル映画へのオマージュが盛り込まれていることでも話題になっている。そのことについて聞かれたチャゼル監督は「無意識ですが、いろんな映画へのオマージュが溢れていると思います。クラシックな映画はもちろんですが、最近の映画も含まれています。昨日、日本の方に言われて気づいたのは、鈴木清順監督の『東京流れ者』。非常にワイドで撮っているところや、ポップアートのような色合い、銃が入っているミュージカルということで、もしかしたらこれが隠れたオマージュになるかもしれません。少なくともアメリカでは誰も言及していません」と秘密を明かした。さらに、ゴズリングから耳打ちされたチャゼル監督は続けて、「今ライアンが思い出させてくれたんですが、私たちが使用したレコーディングスタジオは、『オズの魔法使』や『雨に唄えば』などのレコーディングが実際に行われたところでした。これは素晴らしいギフトだと思っています」と回答。続いて回答を求められたゴズリングは、「今デイミアンに教えたことが私の答えでいいですか? 今のが一番いい話だった」と答え、再び笑いを誘った。


 最後に、映画の大ヒットを祈願して鏡割りを行なったゴズリングとチャゼル監督。ゴズリングが「すごくいい匂い。飲んでもいいですか?」とおどけながら、日本に向けて感謝の気持ちを述べ、会場を後にした。(宮川翔)