昨年3月に新選手権設立がアナウンスされ、その後は元F1ドライバーのハインツ-ハラルド・フレンツェンや、カルン・チャンドックらが開発車両のテストドライブを敢行するなど、徐々にその全貌が明らかになってきた「EGTチャンピオンシップ」
この100%電気自動車による新たな"ゼロ・エミッション"GT選手権の概要が、今月中旬にイギリス・バーミンガムで行われたオートスポーツ・インターナショナルショー(ASI)の会場で発表された。
今季から開催を予定するシリーズは欧州を中心に全7戦程度となり、本拠地であるイギリスのドニントンパークを皮切りに、ポールリカール(フランス)、ニュルブルクリンク(ドイツ)、カタルーニャ(スペイン)、エストリル(ポルトガル)、アッセン(オランダ)、ムジェロ(イタリア)などでの開催を予定。その他、北米でもノンタイトル戦を計画中で、今後はアジアでもレース開催に向けた調整を進めていくという。
レースフォーマットは20分のフリープラクティス後に60分間の予選、決勝は2ヒート制となり、それぞれ60kmのレース距離が設定される。
現状、シリーズに参戦可能なマシンは『テスラ・モデルS』のみとみられ、実質ワンメイクとなるが、ラウンチ当初に発表された『モデルS P85D』ベースのマシンから、直近に追加された"リディキュラス(馬鹿げたパワー)・モード"を備えるハイパワー版『P100D』をベースとした車両に変更。
会場では、新たに開発が進められているこの『EGTテスラV2.0』の詳細なパフォーマンスデータも明かされ、市販モデルに比べて500kgの軽量化を実施。タイヤはピレリの専用開発品となり、OMP製のロールバーを始めとした保安装置を装備。最高出力は778PS、最大トルクは995Nmを発生し、0-100km/h加速は2.1秒という驚異のツーリングカーとなっている。
このエレクトリックGT選手権(EGT)のCEOを務めるマーク・ジェメルは、このショー会場で「我々のマシンに興味を持つすべてのファンに、この選手権を発表できたのは素晴らしい体験だった」と、語った。
「P100DをベースとしたEGTテスラV2.0のパフォーマンスデータを、独占的に明かす良い機会だと感じた。そこには本当に素晴らしいスペックが並んでいて、マシンを見てかなりの人が驚いたはずだよ」
現在は10チーム、各2名ずつのドライバーによるエントリーが予定され、この選手権に参戦するメンバーは"ドライバーズ・クラブ"と呼ばれる選手枠に登録される。
さらに、電動モビリティによるモータースポーツで先行するフォーミュラEにならい、週末にはライブストリーミングによるレース配信はもちろん、ツイッターやYouTubeを活用して、ファンがインタラクティブにチームやドライバーとコネクトする仕掛けを用意。同時にゲームによるe-レースを開催し、その成績優秀者は実際のレースカーのステアリングを握る機会が得られるというコンセプトも発表された。
「ゲームによるアクティビティは真剣に取り組んでいる要素だ。我々はEGTが誰でも参加できるシリーズであることを願っているし、今後の数カ月間の推移は本当にエキサイティングなものになるだろう」と、シリーズCEOのジェメル。
発表会場でも数名の新規加入がアナウンスされた"ドライバーズ・クラブ"には、現在男女合わせて13名のドライバーが登録されており、元F1リザーブを務めたダニ・クロスや、日本でもおなじみトム・コロネルらも名を連ねている。