『連続ドラマW 東京すみっこごはん』が5月からWOWOWで放送される。
成田名璃子の小説『東京すみっこごはん』をもとにした同作は、年齢や性別、職業の異なる人々がそれぞれに悩みを抱えながらも集い、手作りの料理を共に食べる「共同台所」がある一軒家「すみっこごはん」を舞台にした作品。幼い頃に両親を亡くし、周囲にあわせるように生きてきた孤独な女子高生・沢渡楓が、すみっこごはんに集まる人々との交流を通して成長していく様を描く。
すみっこごはんの誕生を巡る1人の女性の人生について知ることになる主人公・楓役を演じるのは黒島結菜。監督は映画『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』『少女』などの三島有紀子が務める。脚本はNHK連続テレビ小説『マッサン』の羽原大介が担当。
■黒島結菜のコメント
・脚本を読んだ感想
脚本を読ませていただいた時、美味しいものは人を笑顔にするんだなということを最初に感じました。
すみっこごはんに集まる人達は、自分に自信がなかったり悩みを持っていたりします。
それでも真っ直ぐに喜びや悲しみと向き合って生きている姿に、私もそうやって生きていくべきだと心を動かされました。
また、私が演じる楓はよく写真を撮っているのですが、楓が撮るものは“失くなってほしくないもの”という理由があります。なにかハッと気づかされるものがありました。そして読み進めるほど、こんな素敵なドラマの現場に早く入りたい!という気持ちが強くなっていき、とても楽しみになりました。
・沢渡楓役の印象と役作りについて
『撮影が終わって普段の自分に戻っても楓を通して物事を考えて欲しい。「こんなとき楓だったらどうするか」と常に考えて生活してほしい。』
初めて監督にお会いした時に、監督はそう仰っていました。それをずっと意識しています。
楓は思っていることを口にするのがあまり得意ではなく、我慢していることが多い女の子です。
でもすみっこごはんの人達と出会うことで、自分の想いを素直に伝えることができるようになります。
また今回、お料理をするシーンがたくさんあります。鰹節を削ったり、昔ながらの調理法で作ることが多く、初めての経験なので楽しみです。
・「ごはん」にまつわる思い出について
ここ最近1人でご飯を食べることが出来ず、友達を誘ってご飯を食べるか、食べないで早く寝ることが多くなっています。1人でご飯を食べることは平気だったのですが、なぜか美味しいものを1人で食べても、寂しいという気持ちが勝ってしまいます。
それは、誰かと食べる美味しいご飯の味というものを知ってしまったからだと感じています。
でもこのドラマでは、誰と食べるかではなく“おいしいものはおいしい”という事も伝えたいです。
私自身このドラマを通して、“ごはん”というものを深く知る良いきっかけになればと思っています。
・視聴者へのメッセージ
このドラマには、“きちんと伝えていく”、“お互いの尊厳を守る”という2つの軸があります。
こんなにも温かく優しいドラマに参加させていただけることがとても幸せです。
素晴らしいスタッフさんとキャストの皆さんと一緒に、観てくれる方々の心に残る作品にしていきますので、よろしくお願いします。
■三島有紀子監督のコメント
・『東京すみっこごはん』のドラマ化について
すみっこごはんに集まる人々は、少々風変わりでオカシナ人たちですがその実、いろんなことに真摯に向き合いもがきながら生きています。
だからこそ、きちんと相手を尊重して関わる=尊厳を守る、そんな関係性をしっかりと描きたいと思いました。
主人公の楓は、そんな人たちが自分らしい生き方に向かっていく姿を見つめ、また、すみっこごはんにある風変わりなレシピを見ていく中で、大きく欠落していた部分が少しだけ埋まり、“人生がちょっぴりおいしくなる秘訣”を知っていく作品です。
このドラマを観終わった後、空を仰いで叫びたくなってもらいたい。
「いただきます!」
ごはんはもちろん、自然や人との出会い...、嬉しいことも悲しいことも、この世のすべて、あらゆることを“味わう”覚悟を決める、もしかしたらたぶんそんなことが人生がおいしくなる秘訣、なのかもしれないなと思って作ります。
・沢渡楓役を演じる黒島結菜の印象
黒島さん自身がよく写真を撮っていることを知っていて、その写真を見て、「ああ、こういうものにシャッターを切る人なんだなあ」ととても興味深く追いかけていました。
「感じる力、想像する力のとても豊かな人だろうな」と想像していたのですが、初めてお会いした時、思っていた通りの方で、尚且つとても落ち着いていました。
黒島さんとみんなで「楓」の人生のひとときの旅に出たいと思います。
・「ごはん」にまつわる思い出について
母親がとてもお料理がうまかったので、カツオブシでしっかり出汁をとったお味噌汁が大好きでした。
あったかいお味噌汁は心をホッとさせます。落ち込んだりいろんなことがあったりすると、それに気づいた母親が「とりあえず食べ」とごはんとお味噌汁を作って出してくれたのを思い出します。
神戸の震災の時、取材したおばあちゃんが「あったかいことがごちそうや」とあたためなおしたお味噌汁を出してくれ、その温かいお味噌汁が体に沁み渡り涙が溢れました。だから、最後の晩餐で何が食べたいか?ともし聞かれたら、迷わず「蕪とお揚げさんのお味噌汁!」と答えます。