2016年限りで世界ラリー選手権(WRC)から撤退したフォルクスワーゲンの元ドライバーであるアンドレアス・ミケルセンは、現在もプライベートチームとしてフォルクスワーゲンの17年型ポロR WRCを走らせることを望んでいる。
16年までフォルクスワーゲン・モータースポーツに所属し、シリーズ最終戦では勝利を飾ったミケルセンだが、その後シート探しに苦戦。最上位クラスに参戦するワークスチームと契約を交わすことができず、先週末の開幕戦モンテカルロには、下位クラスのWRC2にシュコダから参戦した。
そのミケルセンは、ラリー・モンテカルロで別格の速さを披露。WRC2で独走優勝を飾っただけでなく、総合7位に食い込み実力の高さを示した。
ミケルセンは可能な限り早くポロR WRCで参戦するチャンスを手にしたいと思いを明かす。
「僕の目標は2018年にワークスチームへ復帰し、世界選手権を争うことだ」とミケルセン。
「ただし、今年の目標は17年型ポロR WRCで3戦に出場することだよ」
「本当は(2月の第2戦)スウェーデンから参戦したいと願っているけれど、ホモロゲーションを取得するには時間が足りない。だから、(5月の第6戦)ポルトガルを現実的な目標だと捉えている」
「17年型ポロR WRCでは数え切れないほどテストをこなしてきた。僕が唯一、ドライビングの仕方を熟知しているマシンだと言っても過言ではないよ!」
「なんとしても、あのマシンを走らせたい。実現させてみせるよ」
「そのためにはスポンサー探しはもちろん、ホモロゲーションに必要なことを整理する必要がある」
17年型ポロR WRCのホモロゲーションに関しては、ラリー・モンテカルロの週末に全ワークスチームのトップとFIAで話し合いが行われたものの、ここでは結論は出されなかった。
この会合でFIAはフォルクスワーゲンにより具体的なプランを提出するよう求める意向を示したほか、ヒュンダイ・モータースポーツのミシェル・ナンダン代表からは参戦するのであればフォルクスワーゲンはシリーズに復帰するべきだとの意見を述べている。
FIAラリーディレクターのヤルモ・マホネンは「この件については、可能な限り速やかに見当を進める」と語る。
「ミシェル(・ナンダン)が言いたいことも理解できる。(ワークスチームではなく、プライベーターとしてWRCに参戦した)昨年のシトロエンと状況は似ているが、彼らは今年ワークス体制で戻ってきた」
「フォルクスワーゲンは、そうはいかないはずだ」
「話し合い自体はポジティブなものだった。雰囲気もよく、参加者は自らの意見を述べていたからね」
「まずは、フォルクスワーゲンともう一度話をする。そのあとに再度、会合を開くつもりだ」
フォルクスワーゲンは、この件に関してコメントを拒否したものの、ある関係者は「話し合いに応じる準備は整っている」と明かした。
なお、17年型ポロR WRCの出走が認められた場合でも、どのチームが走らせるのかは不透明のままだ。
仮にドライバーが17年型ポロR WRCをレンタルする場合、フォルクスワーゲン・モータースポーツのシリーズ4連覇を支えた現場クルー全員か、より少数の技術部隊を雇用する必要があるとみられる。
また、17年型ポロR WRCの出走が認められなかった場合、ミケルセンは引き続きシュコダからWRC2へ挑戦していく考えだという。