刻一刻とマノーにタイムリミットが近づいている。
1月6日に破産宣告をしたマノー。その後、管財人の管理下に置かれ、1月分の給料が支払われたため、現在もマノーはファクトリーがあるバンブリーでチームは存在している。2016年のウインターテストからマノーのレースチームのメカニックを務めてきた飯田一寿は、いまもマノーのファクトリーで奇跡を信じて仕事を続けているメンバーのひとりだ。
「今シーズンもレースができることを信じて、ファクトリーでその準備をしています。もし、マノーが存続できれば、最初の数戦は昨年(2016年)のマシンをモディファイした暫定車でレースを戦い、ヨーロッパラウンドあたりから新車を投入する予定だと聞いています」
しかし、沈みゆくチームを見捨てるスタッフが後を絶たず、昨年のマシンをモディファイするのですら、手が足りない状況だという。
「すでに多くのチームメンバーが離脱して、メカニックは私を含めて5人しか残っていません。これでは、昨年のマシンをモディファイするのもままならないため、自分の知り合いで短期間だけでもチームに来て手伝えそうな知人友人をピックアップし、そのリストをチームのマネージャーやチーフメカニックに渡して、好機が訪れたときに備えています。ただ、状況が流動的なので、一週間とか一カ月とか、短期間でしかお願いできませんが……」
飯田によれば、「今週の金曜日に管財人から、残っているチームスタッフへ今後の方針が発表される予定になっています」という。
破産宣告をした会社に管財人が入った場合、会社の資産はすべて管財人によって管理され、会社の債務が整理される。さらに管財人が会社に存続するだけの価値があると判断した場合、管財人によって管理されている資産の範囲内で、社員に給料が支払われ、存続に向けた交渉が行われ、新たな投資家が見つかれば、会社は存続する。
だが、新たな投資家が見つからず、会社の経営が困難だと管財人が判断すれば、事業を停止して会社を解散し、会社を清算する手続きが行われる。
「管財人とは1週間に一度ミーティングがあり、その都度、状況を説明してくれます。最初はアメリカの投資家と交渉していて、年明け早々にサインをするという話でしたけど、土壇場で話がなくなり、その後は別の2、3の投資家と話し合いをしているそうです。具体的にどこのだれかは具体的に知らされていません。実際、自分たちに説明がある前にインターネットに情報がリークされて自分たちに説明がある前に、すでにネットで流れてしまっていました。それも2回も……。現在はアジアの投資家が一番有力なようですけど、本当の所はわかりません。ロン・デニスが興味を持っているとか買うとかいう噂もありますけど実際はどうなのか……。これも金曜日にわかると思います」と飯田は語っている。
1月27日に、管財人からどのような発表が行われるのか。そのXデーを翌日に控えた飯田は、今日もバンブリーのファクトリーで粛々と2017年シーズンに向けた準備を行っている。
「いまは管財人の管理下に置かれているため、ワークショップへ行っても2017年へ向けた準備は何もできませんが、チームの存続が決まったらすぐに仕事が始められるように、昨年のクルマやパーツの準備をしています」
奇跡を祈りたい。