先日「職場の福利厚生自慢」で紹介したように、「犬猫持ち込み可」や「サッカー休暇」などユニークな福利厚生を持つ企業も少なくない。今回は「プロポーズ休暇」や「失恋休暇」など恋愛にまつわる独自の休暇制度を持つ会社に、休暇制定のきっかけや取得実績について話を聞いた。
プロポーズ休暇を取得したら会社に結果報告、フラれた場合は励ましてもらえる
婚活支援サービスを提供するパートナーエージェントには、プロポーズする日を休暇として申請できる「プロポーズ休暇」がある。祝日勤務の人や旅行先でプロポーズをしたいという人には嬉しい制度だ。
プロポーズ結果は会社に報告しなければならない。プロポーズが成功した場合は従業員全員が祝ってくれ、逆にフラれた場合は励ましてもらえるという。
成功すればよいが、もし失敗したら会社に報告するのは気が引ける。しかしパートナーエージェントの担当者によれば「いまのところプロポーズに失敗した人はいません」ということだった。
また同社には、「パートナーバースデー休暇」という制度もある。恋人や配偶者の誕生月に休暇を1日申請できるというものだ。
こちらも年々取得する人が増加しており、2010年度には27.4%程であった取得率が、2015年度には57.5%まで増加している。
こうしたユニークな休暇を制定した背景には、パートナーエージェントの企業理念があると担当者は語っていた。
「大切な人を思いやる愛情の大切さを伝えるエージェントとして、自らその愛情を体現することの大切さを企業全体として考える理念に基づいています」
失恋休暇は離婚も対象、今のところ取得者は全て男性
神戸市を中心に美容室を展開するチカラコーポレーション。5年以上働いた人に12連休が与えられる長期休暇制度のほか、「失恋休暇」という変わった休暇制度を持っている。
失恋後、20代前半なら1日、20代後半なら2日、30歳以上は3日の休暇を取得することができる。年齢が上がるにつれて休暇日数が増えるのは、年を重ねると恋人との結婚を考えている場合などがあり、失恋のショックも大きくなるからだという。離婚も対象になる。
このユニークな制度が生まれたきっかけは、とある女性美容師の失恋だった。
「ある日、出勤していた女性美容師がバックヤードで突然泣き出してしまうということがありました。オーナーがその女性に理由を尋ねたところ、長く付き合っていた恋人と別れたというのです。そんな状態でお客様に接客するのもどうなのだろうということで失恋休暇が生まれました」
美容師は髪をカットする技術だけでなく、接客態度も問われる。失恋をして元気がない状態では、客とのやり取りにも支障が出てしまうことがあるのだろう。
制度を利用するのは簡単だ。店長に口頭で伝えてそこで承認をもらえばOKだという。そのため休暇を取得したことで、同僚に失恋したことがバレるということもない。
いまのところ取得したのは3~4人に留まる。全員が男性で、離婚に当たっての手続きなどで取得する人が多いという。
「休暇を取得する人が少ないのは、失恋しても仕事をしてリフレッシュするという人が多いからなのかもしれません。またお客様の予約が入っていて休暇を取れないという場合もあるようです」
まだあまり利用されていないようではあるが、それでも失恋して傷ついたときには休むこともできるというのはありがたい。