GP2レースウイナーであり、元ウイリアムズF1のデベロップメント・ドライバーも務めたアレックス・リンが、フォーミュラEに参戦するDSヴァージン・レーシングに加入。リザーブとしてマシン開発や、カレンダー次第でレースドライバーの役割を担うこととなった。
リンは2016/17シーズン開幕前の昨年8月に、フォーミュラEに新規参戦するジャガー・レーシングをテストして以来、電動フォーミュラシリーズへの参戦を目指し、ルノー・e.ダムスなどと話し合いを続けてきた。
しかし。ここへきてDSヴァージンとリザーブドライバーとして契約を交わし、サードドライバーとして帯同するとともに、チームの2017/18マシンの開発を担う“複数年契約”に署名した。
イギリス出身のリンは、母国のドニントンパークで行われたプレシーズンテストが「今回の役割を手に入れるにあたって、重要な役割を果たした」と振り返る。
「僕がドニントンで発揮したパフォーマンスが、(DSヴァージンのボスである)アレックス・タイとDSヴァージンのメンバーにとってかなり大きな印象を与えたようだ」とリン。
「これまで僕はシングルシーターで成功を収めてきたけれど、最大の焦点は“実際のフォーミュラEマシンで何ができるのか?”ということだった。ドニントンは、それを証明する絶好の機会になった」
DSヴァージンでレギュラードライバーを務めるホセ-マリア・ロペスとサム・バードは、それぞれFIA世界耐久選手権(WEC)でトヨタ、フェラーリに加入すると噂されており、リンは今シーズン中にもフォーミュラE実戦デビューを果たす可能性がある。
現時点で、フォーミュラEとWECの日程がバッティングしているのは計2戦。ひとつはWECプロローグとバッティングするメキシコePrix、もうひとつはWEC第4戦ニュルブルクリンクと重複しているニューヨークePrix戦だ。
このうち、バードはメキシコePrix出場を優先する可能性が高いとされているほか、トヨタLMP1加入が取り沙汰されているロペスは、仮にチーム入りした確定した場合、プロローグの舞台であるイタリア・モンツァから強行軍でメキシコまで移動する必要に迫られることになる。
リン自身は、この北米、中米ラウンドでのスポット参戦の可能性が高いことを認めつつ、「ドライバーとしての参戦は2017/18シーズンからがターゲット」だと語った。
「フォーミュラEは本当にクールだ。できるだけ早く選手権でレースがしたいし、その場所は確実にあるはずなんだ」
2014年のGP3王者として直近の2シーズンでGP2に参戦し、通算5勝。2年連続ランキング6位で終えたリンは、昨年後半にマノーのLMP2をドライブしてWECデビュー。今シーズンもスポーツカーカテゴリでの活動を模索していくという。
「WEC開幕戦のシルバーストンで、ワークスマシンのステアリングを握ってグリッドに並べたら最高だ。まだ可能性は残されているし、うまくいくことを願っている」