お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんが1月19日「お金の奴隷解放宣言。」と題されたブログ記事を投稿し、絵本『えんとつ町のプペル』を無料公開にすることを発表した。その後、同作はアマゾンの総合ランキングで1位を獲得。同作を買えない子どものために無料公開すると語っていたが、結局は炎上商法なのではないかという批判が相次ぐ事態になった。
「スタッフには、一番最初の段階でお給料を全額お支払いしております」と弁明
『えんとつ町のプペル』はクラウドファンディングで資金を集めて制作。これまで2000円で販売されていた。しかし、小学生から「2000円は高い。自分で買えない」と言われた西野さんは、「お金を持っている人は見ることができて、お金を持っていない人は見ることができない」ことに疑問を感じ、
「なんで、人間が幸せになる為に発明した『お金』に、支配され、格差が生まれてんの?」
と思ったという。ものによっては、「お金」がなければ見られないというものがあってもいいと断ったうえで、
「お金など介さずとも、昔の田舎の集落のように、物々交換や信用交換で回るモノがあってもおかしくないんじゃないか。『ありがとう』という《恩》で回る人生があってもいいのではないか」
と自身の考えを述べ、同作の無料公開に踏み切ることを発表した。
これに対して、「『ものづくる人たちがものづくることで対価を得、食べ、生きて行く』ことへの逆風にならなきゃいいな」とクリエイターが正当な報酬を要求しづらくなるのではないかという懸念の声が相次いでいた。
ただ西野さん自身は、
「誤解されている方が多いので補足しておきますと、今回の『えんとつ町のプペル』の制作スタッフには、一番最初の段階でお給料を全額お支払いしております」
「俺は無料にするけど、その代わり他のクリエイターに『西野はタダにしたんだからおまえもしろ』なんて絶対言っちゃダメよ」
とも釘を刺していた。
「セールス活動を慈善のように言うのが嫌気された」
無料公開後には、同作がアマゾンの総合ランキングで1位を獲得。西野さんはブログで嬉しそうに報告していたが、ネット上ではまたも批判が噴出した。「お金からの解放」などと大上段に構えて美談風に語っていたが、結局のところ「炎上商法」でしかなかったという意見が多い。
「炎上マーケティングが大成功したという報告。こうやって無神経で挑発的なPRが溢れていく未来はいやだね」
「クラウドファンディングで金集めした人が『金の奴隷解放宣言』とか言った後に売れ筋ランキングで喜んでいる。全部金の為やんけと言われても仕方ない」
また、今回のような手法は最近ウェブ業界を中心によくある「フリーミアム」という考え方に近い、という指摘も。フリーミアムは、基本利用料は無料だが、上位機能やちょっとしたオプションなどで課金する、というビジネスモデルだ。
西野さんの絵本も、無料公開されたがPDFではなくウェブページに画像を貼ってテキストを入れただけなので、作品の雰囲気をしっかり楽しみたければ現物を買うしかない。格好いいことを言っていてもビジネスであることに変わりなく、その点についてもすっきりしない人がいたようだ。
もっとも、これまでの西野さんの言動からすれば、炎上含めて全てが既定路線だったともいえる。そのため「読めてた展開。セールス活動を慈善のように言うのが嫌気されたわけ」と冷めた目で見ている人もいた。