FIAはコクピット保護デバイス「ハロ」の分析の一環として、2016年のオーストラリアGPで発生したフェルナンド・アロンソの大クラッシュを、ハロ装着状態でシミュレーションした。
昨年すべてのF1ドライバーがそのデバイスを装着した状態でテストを行い、それについての所見をFIAにフィードバックするなどして、コース内外でハロに関するテストが行われた。
FIAはなんらかのコクピット保護デバイスが2018年に導入される予定であり、ハロはレッドブルが開発したエアロスクリーンよりも好ましい選択肢だと発言してきた。
2016年開幕戦のオーストラリアGPで、アロンソはエステバン・グティエレスと接触した後に3コーナーのグラベルを超えて高速で宙を舞い、マシンが逆さまに着地するという大事故に見舞われた。
FIAの副レースディレクターであり、セーフティディレクターを務めるローレン・メキースは、アロンソの事故がFIAの研究プログラムの一部として分析され、ドライバーらは同じような状況下での脱出をテストする機会を与えられると語った。
「我々はハロの研究をするにあたり、あの事故に特に注目したんだ」
「どのようにマシンが着地したのかを見たが、もしドライバーが脱出を必要としたときに何が起こるかが最大の疑問だった」
「答えはふたつに分かれる。ひとつ目はマーシャルがマシンを押して元に戻すという通常の手順だ」
「もしドライバーが大丈夫だと感じれば、決してマーシャルを待つことなく脱出を試みるというのもわかる」
「マシンが電気的なシステムを搭載していることを考えるとそれはあまりいい考えではない。我々としてはマーシャルの救助を待ってほしいが、そうなったことも理解している」
「我々は最悪のシナリオを想定し、ハロを装着したシャシーを上下逆さまに置き、そのなかに(国際モータースポーツ安全研究機関のコンサルタントである)アンディー・メラーに入ってもらった。そしてフェルナンドのときと同じような状況で脱出するよう頼んだところ、驚いたことに彼は出てくることができたのだ」
「この例から、ハロを装着していてもドライバーのためのスペースを確保できることがわかったんだ」
「これをドライバーたちに示したとき、彼らはアンディーがマシンから出てくるのにかかった時間にはよい印象を抱かなかったようだが、ハロが導入される前に試乗し、そのトレーニングを受けることになる」
ハロプロジェクトが完了する中、デバイスが導入されるかそれとも別の道をたどるかはF1の上層部次第だとメキースは語った。
「我々は非常に多くのハロプロジェクトを完了している」
「ハロは我々の研究プロジェクトのひとつであり、最も力を注いだもののひとつだった」
「エンジニアリング作業に関しては完了していて、今後はF1の利害関係者、そしてドライバー、FIA、チームの間でハロがF1のために、そしてドライバーのために正しい選択なのか、もしくは我々は多少異なったものが必要なのかについて話し合いがもたれる」
「そのため、2018年に採用されるかどうかは目下検討中なんだ」