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労基署の重点調査、対象企業倍増の一方で監督官は微増「すべてをまわるのは無理」

2017年01月18日 18:32  弁護士ドットコム

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厚生労働省は1月17日、違法労働が疑われる1万59事業所に対し、「重点監督」(2016年4月~9月分)をした結果、6659件の是正勧告を行なったと発表した。このうち、もっとも多かったのが労働時間に関するもの。36協定を超える違法残業や、そもそも36協定がないというケースが4416件あり、半数を超えた。


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重点監督は従来、労働者からの相談やタレコミ情報などから、月100時間超の時間外労働が疑われる事業所を対象にしていた。それが2016年4月から月80時間超に変更。結果、調査対象は2015年同時期の4861事業所に比べ、およそ2倍の1万59事業所になった。是正勧告の件数も、約1.7倍の6659件に増えている。


一方で、立ち入り調査を行う「労働基準監督官」の数はあまり増えていない。厚労省によると、労働基準監督署に配属されている監督官の数は2015年度が3219人、2016年度が3241人で22人増にとどまっている。


「人員に限りがあるので、80時間超の事業所すべてを一度に回るのは無理。労災の件数が減っているので、そちらの担当から人員を回すなどして対応している」(厚労省労働基準局)


2014年の労働基準監督年報によると、監督官は定期監督や申告監督など、年間16万件超の立ち入り調査を行なっている。厚労省は今後も長時間労働について、監督を強化する方針。毎日新聞の報道によると、2017年度は監督官の定員を50人増やすという。


(弁護士ドットコムニュース)