いよいよ今週、1月19日に世界ラリー選手権(WRC)の2017年シーズンが開幕する。例年以上に注目が集まる開幕戦モンテカルロに向け、各チームのドライバーたちが意気込みを語った。
■Mスポーツ
王者フォルクスワーゲンの撤退により、ドライバー市場に“放出”されたセバスチャン・オジエを迎え入れたMスポーツ。今季はオジエと若手オット・タナクに加え、タイヤメーカーDMACKが運営するDMACKワールドラリーチームのエルフィン・エバンスを加えた3台体制でシリーズに挑む。マシンは、フォード・フィエスタをベースとしたフォード・フィエスタWRCだ。
●セバスチャン・オジエ
「新しいレギュレーションに新しいマシン、そして新しいチーム。2017年はすべてが一新されたシーズンだ」
「ラリーでは経験がもっとも重要な鍵となるから、もう少しチームとテストを重ねたかったけれど、限られた時間のなかでも多くのことを学ぶことができた」
「長年ラリーに携わってきて、どう戦えばいいかは熟知しているつもり。今週末も現実的アプローチで攻めていく。準備が万全とは言い難いが、初戦からベストを尽くしていくよ」
「ラリー・モンテカルロで勝つために必要なのは、正しいタイヤ選択とコンディションの判断、そしてグリップレベルを見極めることだ。これらのことをしっかり守っていけば、必ずいい結果に繋がる」
「これまで何度かラリー・モンテカルロで勝利を手にしているけれど、歴史は長く、毎年チャレンジングなイベントだから、慣れたと感じることはない。とても特別な1戦だよ」
●オット・タナク
「去年から、いろいろなことが変わっていて、まったく新しい挑戦になる。シーズン開幕が待ち遠しかったよ」
「開幕に向けて、あらゆる準備を整えてきたし、チームスタッフは新型マシンに驚くべき改良を施してきた。どのチームも新車を投入するから、最初のステージを走りきるまで勢力図は描けない状況だ」
「モチベーションは高まっているけれど、開幕戦のラリー・モンテカルロはシリーズのなかでも、もっとも難易度が高いイベントのひとつだ。チャレンジングな戦いになるけど、鍵となる要素はシンプルなんだ」
「今シーズンの目標は、終始安定したパフォーマンスを発揮すること、そしてコンスタントにポイントを稼ぐことだ」
●エルフィン・エバンス
「WRCの最上位クラスに戻り、新世代のWRカーをドライブするチャンスに恵まれて光栄だ。DMACKには感謝している」
「昨シーズンはWRC2での活動と並行して、フィエスタWRCの開発にも取り組んできた。トップクラスでの戦いはハードなものになることは分かっているけれど、戦う準備は整っているよ」
■シトロエン/シトロエン・モータースポーツ
■ヒュンダイ/ヒュンダイ・モータースポーツ
■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing
■シトロエン/シトロエン・モータースポーツ
昨年はワークス体制でのWRC参戦を取りやめ、17年型マシンの開発にリソースを割いていたシトロエン。ドライバーには、WRC参戦歴の長いクリス・ミークをエースに据え、若手ステファン・ルフェーブレ、クレイグ・ブリーンを起用する。マシンはシトロエンの新型コンパクト、C3をベースにしたシトロエンC3 WRCとなる。
なお開幕戦ではブリーンのみ、16年まで使われたシトロエンDS3 WRCでの参戦だ。
●クリス・ミーク
「開幕戦に向けたテストをすべて終え、万全の状態が整いつつある。WRC新時代の戦いを待ちきれないよ。多くの人びとから今まで以上に注目を浴びている実感があるけれど、自分のドライビングに集中して戦っていく」
「(開幕戦)モンテカルロは毎年、一筋縄ではいかないイベントだ。サービスパークに入るたびに、コンディションに適した、あるいはコンディションにもっとも近いタイヤを選ぶ必要があるからね」
「(ステージが設定される)山岳地帯では、つねにコンディションが変化する。限られたデータを正しく分析し、コンディションに対処しなければいけないんだ。ただ、シトロエンに充分な経験という最大の武器が備わっているから、それを有効活用していくよ」
「開幕戦の目標はとてもシンプルだ。リラックスしながらマシンを操り、ラリーを楽しむということだ」
●ステファン・ルフェーブル
「この開幕戦に向けて、長い時間をかけて準備を整えてきた。エンジニアとは、あらゆる事態を想定した議論を重ねてきたし、マシンに関する知識も深めてきた。チームの力になるため、できることはすべてやってきたつもりだよ」
「シトロエンのワークスドライバーとして挑む初戦では、いい順位でフィニッシュして、チームに大量ポイントをもたらしたいと思っている」
「テストの時間が限られていたから、まだC3 WRCを100パーセントの自信を持ってドライブできる状況には至っていない。限界までプッシュする前に実戦でマシンを手懐ける必要がありそうだ。ただ、どのドライバーも状況は同じだと思っているよ」
●クレイグ・ブリーン
「モンテカルロでの経験が少ないこともあって、この週末はもっともプレッシャーが少ない状況で戦える。マシンも旧型のDS3 WRCだしね」
「モンテでの経験を積んで、C3 WRCをドライブするふたりに追いつくために戦うよ。走行距離を稼ぐことが第1目標だけど、いくつかポイントを獲得できたら嬉しいね」
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■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing
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今年でシリーズ復帰4年目を迎えるヒュンダイ。昨年は17年型マシン開発と並行して、カスタマー向けのR5規定マシンの製作、16年型マシンの継続アップデートなど、技術面で大きな挑戦を乗り越えたといえる。
ドライバー陣は昨年と変わらずティエリー・ヌービル、ヘイデン・パッドン、ダニ・ソルドの3名体制で、マシンはヒュンダイi20クーペWRC。これまでの5ドアではなく、3ドアのi20がベース車だ。
●ティエリー・ヌービル
「モンテカルロでの、これまでの成績は浮き沈みが激しかった。ただ、2016年は表彰台に登っているから、自信はあるよ」
「素晴らしいイベントだし、熱狂的なファンの前でよりパワーのあるWRカーを走らせるんだ。開幕戦が楽しみでならないよ」
●ヘイデン・パッドン
「2017年シーズンに向けた準備は整った。i20クーペWRCのポテンシャルには自信があるから、少し楽観的に開幕戦へ臨めそうだ」
「どんなドライバーにとっても、このモンテカルロは“洗礼”となる。とにかく見ごたえのあるラリーになるだろうね!」
●ダニ・ソルド
「先日行ったi20クーペWRCのテストで、いい感触を掴むことができた。新シーズン開幕が待ちきれないよ」
「いろいろなレギュレーションが変わっているから、それが勢力図をどう書き換えるのかも楽しみだ」
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■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing
■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing
今年、実に18年ぶりにWRCの舞台へ舞い戻るトヨタ/TOYOTA GAZOO Racing。ドライバーにはフォルクスワーゲン撤退で放出された強豪、ヤリ-マティ・ラトバラと、17年型マシン開発を担当してきたユホ・ハンニネンのふたりを起用した。マシンはトヨタ・ヤリス(日本名ヴィッツ)がベースのトヨタ・ヤリスWRCだ。
●ヤリ-マティ・ラトバラ
「2カ月前は、トヨタの選手として開幕戦モンテカルロに出場するとは夢にも思っておらず、とても興奮している」
「4日間のスノーテスト、1日間のグラベルテスト、7日間のターマックテストと計12日間テストを行ない、マシンの改善に取り組めたと思う。ヤリスWRCは競争力が高いと思っているが、各チームが新しいクルマで競うので、相対的に我々がどのくらいの位置にいるかは分からない」
「いずれにしても、今年は開発のための学びの年だと考えている。モンテカルロはまず完走を目指し、シーズン半ばから表彰台を狙えるようにしていきたい」
●ユホ・ハンニネン
「ラリー・モンテカルロは、過去に4度出場し、うちWRカーでは1度出場したことがある。私が最後に出場したラリーは2015年のラリー・フィンランドなので、WRCがいよいよ始まることがとても楽しみだ」
「テスト走行でのヤリスWRCにはとても良い感触を持っているが、何が起こるか分からないし、最後に参戦してから時間が経っている。モンテカルロの結果については、特に考えていないが、リラックスして競技に臨み、もちろん完走を目指したい」
「我々はまだ多くのことを学ばなければいけないが、シーズンが始まってしまえば自然に適応できると思う」
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