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「ワンメーターはお断り」タクシー運転手が短距離の乗車を拒否、法的に問題ないの?

2017年01月18日 10:42  弁護士ドットコム

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ワンメーターで行けるところまで行ってほしいーー。タクシーに乗車しようとした際にそんなオーダーをしたところ運転手から乗車拒否されたという体験がネット上の掲示板に寄せられた。


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「乗車拒否はいかんが、気持ちは分かる」と支持する声がある一方、「ワンメーターから営業してんのに怒るほうが非常識」など否定的な意見も寄せられていた。


「走行距離が短いから」という理由で、客の乗車を拒否をすることは可能なのだろうか。鈴木 義仁弁護士に聞いた。


●乗車拒否できるのは「正当な理由」がある場合に限られる

「タクシーの場合、お客さんから乗車の申し込みを受けた場合、正当な理由がない限り、原則として拒絶してはならないことになっています(道路運送法13条)」


鈴木弁護士はこのように述べる。「走行距離が短い」という理由は、正当な理由にあたるのか。


「例外的に、乗車拒否できるとされているのは、次のようなケースです(道路運送法13条ただし書き、旅客自動車運送事業運輸規則13条)。


全ては紹介しませんが、たとえば次のようなケースです。


・規定の料金よりも低額な料金で目的地まで行くように要求するケース、


・定員オーバーになる人数での乗車を要求するケース、


・「スピード違反してでも目的地に急げ」など道路交通法違反するような走行を要求するケース、


・行き先を告げられないほど泥酔しているといったケース


今回のケースでも、こうした事情があったのであれば乗車拒否しても問題はありませんが、単に、『走行距離が短い』というだけでは、正当な理由にはあたらないでしょう。


週末の深夜などに、長時間客待ちをした後ようやく乗せた客から、『ワンメーターで』と言われたら、たしかに運転手さんもがっかりしてしまうかもしれません。


ですが、法律上はこのようなルールになっています」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
鈴木 義仁(すずき・よしひと)弁護士
神奈川大学大学院法務研究科教授。横浜市消費生活審議会会長。著書に「悪徳商法にご用心」(共著:日本評論社)、「訴える側の株主代表訴訟」(共著:民事法研究会)「くらしの法律相談ハンドブック(共著:旬報社)」
事務所名:鈴木法律事務所