ピレリのモータースポーツ責任者、ポール・ヘンベリーは、いくつかのF1チームはプレシーズンテストで真のパフォーマンスを見せずに控えめな走りに終始するだろうと考えている。
空力規定変更でフロントとリヤのウイングがアグレッシブな外観になるなど、2017年はレギュレーション変更によりマシンが大きく変わる。これにより今までのマシン序列に違いが出る可能性があるが、バルセロナテストの段階では各マシンの真の実力は見えてこないだろうというのがヘンベリーの見立てだ。
「バルセロナテストは各チームともまだ手の内を見せてこない時期なので、我々も正直、仕上がり具合が掴めないだろうと思うよ」とヘンベリーは語った。
「チームの多くがマシンの真のパフォーマンスを隠そうとするだろう。あるいは、他チームが意図的に控えめな走りをするために自分たちがどういう作業をすべきか悩むスタッフも出てくるかもしれないね」
ヘンベリーは、2017年シーズン初戦となるオーストラリアGPでは「普段とは違う結果が出てくるので」実態は見えないだろうと考える。
「マシンの真価がより正しく見えてくるのは中国GPやバーレーンGPからだろうね」とヘンベリーは言う。
2017年仕様のタイヤはデグラデーションがかなり小さく、ヘンベリーはこれまでより25%グリップが増し、レース中のタイヤ交換が少なくなるだろうと予測している。
ピレリは2016年中に一連のテストを完了したが、その際に使用したマシンが2015年型のモディファイ版だったため、ダウンフォースが2017年仕様のマシンで想定される値より小さく、ヘンベリーを悩ませていた。
「問題だったのは、我々がテストで使用したマシンが、バルセロナで実際に目にすることになるものより5秒遅いものだったということだ」と彼は語った。
「コンパウンドの観点でいえば、かなりチャレンジングな作業になっている。把握できる知見がとても少ないからね」
「もし結果の数値が伝えられている予想値とは違っていたら、我々が少し保守的に考え過ぎていた可能性はある」
ヘンベリーは、ピレリが今後2カ月間でウエットタイヤのテストを計画しており、メルセデス、レッドブル、フェラーリの各チームと交渉してミュールカーを使用することができると語った。
「我々は、現在ウエットタイヤの開発作業を行っている。以前は許可されなかったテストが2017年はできるようになったんだ」
「過去3年間では確か3日間しかテストができなかったと思う」
「2017年はレース日程の範囲であれば最大25日間は行える。だから、シーズン途中にウエットタイヤを変更するプログラムを組んだ」
「我々としてはウエットタイヤのウォームアップ性能を向上させたい」
「ウエットコンディションでのスタンディング(再)スタート方式が取られると、タイヤが冷えてしまうからね」
「タイヤブランケットのないGP2シリーズと同様に、我々は頑張ってもっと素早く温まるタイヤを開発しなければいけない」
「そのためのテストを2月と3月に予定している」
「2016年終盤で使用したハイブリッドカーのうちの1台を使えないかと考えていて、いくつかのチームに保管庫から出して我々に作業させてくれるよう交渉しているところだ」