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三浦大知、ヤスタカ × きゃりー、SKY-HI、チャランポ、BRADIO…存在感が生み出す“発信力”

2017年01月17日 13:31  リアルサウンド

リアルサウンド

三浦大知『EXCITE』(DVD付)

 新作を発表する際に“シェア”というワードが使われるようになり、アーティストの発信力がさらに重要になっている2017年の音楽シーン。今週は、ビジュアル、ステージング、様々なメディアとのコラボレーションを含め、際立った発信力を備えたアーティストの新作を紹介します!


(関連:三浦大知の真髄はダンスにあり! 「(RE)PLAY」MVから中毒性あるパフォーマンスを検証


 地上波の歌番組に出演するたびに、世界レベルと言っても過言ではないダンスと歌によってSNSを賑わせる三浦大知のニューシングル『EXCITE』。表題曲は、昨年10月から『仮面ライダーエグゼイド』の主題歌としてオンエア、全国ツアー『DAICHI MIURA LIVE TOUR 2016 (RE)PLAY』(過去のライブの演出をブラッシュアップするというコンセプトも注目された)でも披露され、ファンの間では既に十分にシェアされているナンバーだ。鋭利なギターフレーズと煌びやかなエレクトロ・サウンドが共存するトラック、そして、心地よいグルーヴと強いメッセージ性を同時に体感できるボーカルからは、現在の彼の好調ぶりがしっかりと感じられる。モーションコントロールカメラで撮影された“三浦大知×三浦大知”のダンスコラボレーションによるMVも斬新だ。


 昨年11月に開催された中田ヤスタカ、きゃりーぱみゅぱみゅのツーマン・ツアー「~SPECIAL DJ × LIVE ZEPP TOUR 2016~『YSTK×KPP』」を記念した両A面スプリットシングル。ロンドン出身の新世代ポップ・アイコン、チャーリーXCXとのコラボレーションが実現した「Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu) 」(作詞:Charli XCX/作曲:中田ヤスタカ)は、EDM以降を照射したトラックとエキゾチックな旋律が絡み合うミディアムチューン。「原宿いやほい」(作詞・作曲:中田ヤスタカ)は<ハイになれ あの交差点から始まった>というフレーズが心に残る、きゃりーの原点と“これから”を体感できるナンバーに仕上がっている。シックな手触りのトラックを含め、きゃりーの新たなフェーズを告げるアイテムと言えそうだ。


 昨年秋に開催されたライブハウスツアーの最終公演(12月15日、16日/豊洲PIT)でUVERworld、クリープハイプと対バンするなど、活動の幅を大きく広げているSKY-HI。3枚目のフルアルバム『OLIVE』でも、ヒップホップに対する圧倒的な造詣の深さを感じさせつつ、幅広いタイプのオーディエンスに訴求する音楽を体現している。軸になっているのは、生音の要素を増やしたオーガニックなサウンドメイク。ニューソウル、ファンクのテイストが感じられるトラックからは、彼の現在のモードが伝わってくる。「君を泣かせた世界を僕が壊しにきた」というメッセージをポップに響かせる「リインカーネーション」、ピアノを中心にしたアレンジのなかで<きっと僕がいなくなったって 地球は回るさ>と歌う「Over the Moon」など、徹底的にポジティブなリリックも素晴らしい。


 歌とアコーディオンの姉妹ユニット、チャラン・ポ・ランタン。姉の小春(アコーディオン)がMr.Childrenのホールツアーに参加、さらにドラマ、映画などの主題歌、アーティストへの楽曲提供など各方面で急激に注目を集めている2人の新作『トリトメナシ』は、豪華かつ個性的なコラボレーションがたっぷり詰まった作品となった。注目は何と言ってもMr.Childrenのメンバーがツアーバンド“ヒカリノアトリエ”名義で参加した「かなしみ」。さらに『逃げ恥』のオープニングテーマ「進め、たまに逃げても」、スカパラとのコラボ曲「雄叫び」、片平里菜、Reiとの共作による「夢ばっかり」など全8曲を収録。チャラン・ポ・ランタンのエキゾチックな世界観と多彩なアーティストの化学反応が楽しめる本作は、彼女たちをさらに広いフィールドへ導くことになるだろう。


 ソウルミュージック、R&B、ギターロック、ポップスなどを織り交ぜた肉体的なバンドサウンド、派手なスーツに身を包んだメンバーによるエンターテインメント性に富んだライブによって、バンドシーンの台風の目になりつつあるBRADIO。その中心的存在とも言えるのが、アフロヘアのボーカリスト真行寺貴秋だ。母親への感謝を歌い上げた4thシングル「ギフト」、しなやかなファンクネスが印象的なリード曲「Back To The Funk」などを収録した新作『FREEDOM』にも、楽曲のテイストによってキャラ変する彼のボーカルの魅力が存分に活かされている。“存在感のあるピン・ボーカルこそがバンドの華”と改めて実感できる、稀有なバンドと言えるだろう。(森朋之)