2017年01月15日 11:32 弁護士ドットコム
無修正のわいせつ動画を海外にサーバがある無修正アダルトサイト「カリビアンコム」で配信したとして、AV制作会社の社長らが逮捕されたことを受けて、AV出演強要問題に取り組むNPO法人ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士は弁護士ドットコムニュースの取材に「女性の意に反する出演は少なくないと推測される」「今後の捜査を通じて実態解明が進み、被害救済につながることを期待する」と語った。
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報道によると、今回の事件では、都内のAV制作会社「ピエロ」の社長ら6人が1月11日までに、わいせつ電磁的記録頒布の疑いで逮捕されていた。
海外サーバを利用した無修正アダルトサイトをめぐっては、若い女性が意に反してAVに出演させられる「AV出演強要」の問題にからんで、被害にあった女性が配信停止を求めることが難しいと指摘されていた。
HRNは昨年3月、AV出演強要の被害実態を報告書にまとめた。この中で、海外サーバを利用して無修正動画の配信をおこなうサイトについて「無修正動画の販売停止を求めたい場合、メーカー又は販売サイトを相手に交渉を開始することになるが、無修正配信を行うメーカーは弱小であることが多いため、大手のメーカーよりも特定が難航する」と指摘していた。
今回の摘発を受けて、HRNの伊藤弁護士は弁護士ドットコムニュースの取材に次のように回答した。
「HRNが公表したAV強要調査報告書でもAV出演強要の結果、無修正アダルトサイトに自分の動画が掲載された事例を取り上げていますが、被害事案はいくつも寄せられていました。騙されたり強要されて出演した挙句、無修正サイトに自分の作品が掲載され、どうやって回収してよいかもわからず苦しみ続けている人は少なくありませんが、海外からの配信であるため、動画削除の交渉も大変難しいのが現状です。
カリビアンコムはこうした海外配信の無修正アダルトサイトの代表的なものであり、摘発された『ピエロ』以外にも多くの国内業者が関与し、女性の意に反する出演は少なくないと推測されます。カリビアンコムと関連する国内業者の全容は謎に包まれていますが、今後の捜査を通じて実態解明が進み、被害救済につながることを期待します」
(弁護士ドットコムニュース)