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養育費支払わず「給料差し押さえ」の危機…会社にバレる? 強制執行の流れを解説

2017年01月15日 10:42  弁護士ドットコム

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養育費が未払いとなった場合、執行裁判所(強制執行に関する権限をもつ裁判所)に申し立てをすることにより、差し押さえによる強制執行されます。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、差し押さえをされた側からの相談が寄せられています。


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ある人は「元嫁に給料から社会保険、厚生年金、その他税金を引いた額の半分を差し押さえられました。子どもが産まれ、家族手当が支給されていますが、それも差し押さえの対象になるのでしょうか」とたずねています。


また別の方は、養育費の差し押えが決まり、裁判所から封書が届いたそうです。しかし「会社にこのことを知られたくないので早急になんとかしたいのですが、とりあえず急いでしなければならないことは何でしょうか」と聞いています。


強制執行による給与の差し押さえとは、どのような制度なのでしょうか。中西雅子弁護士に聞きました。


● 会社に「差押命令」が届く


養育費の差押(強制執行)は、次のような流れとなります。


(1)債権者による申し立て


(2)執行裁判所から「債権差押命令」の発令


(3)会社へ発送


(4)債務者(養育費を支払う側)へ発送


(5)債権者(養育費を請求する側)へ発送


(6)債権者が、会社に対して、取り立てを行う


まず、強制執行をするには、判決、審判、調停調書、公正証書などの「債務名義」(公の文書のこと)が必要です。


その債務名義を根拠に、債権者(養育費を請求する側)が、執行裁判所に強制執行の申立てをします。給料を差し押さえるには、債務者(養育費を支払う側)の勤務先を把握している必要があります。


その上で、執行裁判所に申立をすると(1)、「債権差押命令」が発令され(2)、給料を支払っている会社へこの差押命令正本が届きます(3)。会社に届いたことが確認できたら、裁判所が債務者(養育費を支払う側)に対し、債権差押命令正本を発送します(4)。ですので、既に裁判所からの封書が届いたのであれば、会社に知られていることになります。


裁判所は、債権者(養育費を請求する側)にも債権差押命令の正本を発送します(5)。


給料差押の場合、実際に支払うのは、会社(第三債務者と言います)です。そのため、債務者に「債権差押命令」が届いてから一週間を経過した後、債権者(養育費を請求する側)が会社に直接連絡をして取り立てることになります(6)。


● 債務者が会社員でない場合、強制執行は難しい


原則として、給与差押の対象は、税金や社会保険等を控除した残額の2分の1です。未払いの養育費がこれを超える場合には、限度額分を完済するまで支払い続けることになります。


会社からの家族手当は控除されません。再婚して、扶養家族が増えるなど状況が変わったことにより、債務名義上の養育費の支払いが苦しいのであれば、養育費自体を減額してもらう調停を家裁に申立てることができます。


なお、債務者が会社員でない場合、債務者の預金口座の情報や継続的な取引先を知っている場合でないと、強制執行は難しいのが現実です。


しかし、自力で金融機関の口座情報まで特定するのは大変なことです。現在、金融機関に口座照会への回答を義務付ける民事執行法の改正も議論されています。




【取材協力弁護士】
中西 雅子(なかにし・まさこ)弁護士
東京音楽大学卒業、平成19年に弁護士登録。 離婚や遺言・相続等の家事事件を中心に、損害賠償事件、不動産関連等の一般民事事件、商標問題などを取り扱う。東京弁護士会所属。
事務所名:中西雅子法律事務所
事務所URL:http://www.mnpf-law.jp/