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濱田岳、個性派俳優としての非凡な才能 チャーミングかつトボけた役柄の魅力を探る

2017年01月15日 10:31  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)2017 フジテレビジョン 東宝 ホリプロ

 2015年は『予告犯』など4本、2016年は『ヒメアノ~ル』や『世界から猫が消えたなら』など5本の映画に出演した濱田岳。その他、テレビドラマでは『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』で主役、CMでも個性的なキャラクターを演じ、視聴者に強い印象を与えている俳優だ。


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 そんな彼の最新作が映画『本能寺ホテル』。織田信長の近習・森蘭丸をコミカルかつ印象深く演じている。主役でも、脇役でも強い存在感を発揮しつつ、決して邪魔にならない。作り手にとっては非常に頼もしい存在だ。


 小柄で愛嬌があり、舞台挨拶等では、先輩・後輩問わず可愛がられるキャラクターでありながら、意外と毒舌だったり、リップサービスをしたりと、さまざまな表情をみせる濱田。基本的にいじられキャラがよくはまるが、トボけた仕草からみせるいじらしさや毒々しさ、一見、「濱田のイメージとは違うでしょう」と思われる既存のキャラクターを自分のものにしてしまう演技力は目を見張る。


 近作でいえばドラマ『信長協奏曲(コンツェルト)』で演じた徳川家康は、教科書等で語られている家康像とは全くかけ離れていながらも、劇中では完全に“濱田家康”になっており「家康ってこんなだったのかもしれないな」と一瞬感じてしまうような説得力があった。そして出番が少ないながらも、大好評を博した。


 また『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』では、映画シリーズで西田敏行が演じていたハマちゃんの新入社員時代を演じたが、キャスト発表当初「イメージが違うのでは」という意見があがっていたが、放送が開始されると絶賛の嵐。こちらも、濱田ならではのハマちゃんを見事に演じ切った。


 『本能寺ホテル』では堤真一演じる織田信長の近習である森蘭丸に扮する。蘭丸といえば、信長が寵愛するほどの美少年というイメージが強いが、そんな役柄を濱田が演じると、なんともチャーミングかつ、トボけた人物へと様変わりする。とにかく「ちょっとイメージとは違うかな」と思わせるキャラクターでも、濱田は「そういう人だったのかな」と思ってしまうぐらいキャラクター付けがうまい。


 『本能寺ホテル』でメガホンをとった鈴木雅之監督は、濱田について「物語のなかで、キャラクターを作っていく必要があるとき、彼は最高です。同世代の俳優のなかでも、個性的という意味では群を抜いている」と絶賛。一方で、キャラクターを際立たせるということは、作品のトーンを壊してしまう危険性もあるのだが、濱田の場合、そういった心配がないという。鈴木監督以外にも、『釣りバカ~』の朝原雄三監督や共演した西田も、濱田の存在感を賞賛しており、『3年B組金八先生』で共演した武田鉄矢が、当時から濱田の才能を見抜いていたことは有名な話だ。


 視聴者からの好感度が高く、作り手からも絶大な信頼を得ている濱田の出演作が途切れることなく続いているのも頷ける。すでに映像界で独自のポジションを築いている感のある濱田だが、今後年を重ねるごとにまた今までとは違った面をみせてくれそうな予感がする。そんな期待を持たせてくれるような俳優だ。(磯部正和)