社内情報は外部に漏らしてはいけない。これは社会人の常識だが、1月11日、あるツイッターユーザーのこんなツイートが話題になっていた。(文:okei)
「電車で隣のおじさま、タブレットを使って部下の報告に目を通し、スケジューラで動きを把握し、現在動ける社員に対して具体的に指示を出してるの、すごい未来世紀の上司みたいでかっこいい」
「全部隣の私に筒抜けなんですが、御社名・部署名・社員名ならびに営業戦略この場で全世界に公開していいですか?」
実はよく見る光景だった!カフェやファミレス、新幹線で
おじさまは「50代後半くらいに見える」とのこと。「めっちゃ仕事できてるのにそういうとこ抜けてるのお茶目で可愛い」など、敬服と呆れ顔半々といったつぶやきだった。
これに対して「これができる風ダメというやつか」「セキュリティだけは昔ながらだったかー」などと苦笑いする声が相次ぎ、1400件以上リツイートされ、トゥギャッターにもまとめられた。意外にも「よく見かける光景」として共感する人が多い。
「カフェで仕事してる人にも言いたいんだけど……私視力いいから全て筒抜けですよ?」
「弁護士の方はファミレスで裁判内容のことを大声で話すことを控えていただきたい(実話)」
「新幹線の隣の席でPC広げて業務メールをバリバリやり取りしてた人が、取引先の会社の人だった」という人も。恐ろしいことに、「タブレットにユーザー名とパスが書かれたメモが貼られてたのは見た」という目撃談もあった。やはりおじさまだろうか、家のカギをドアの鍵穴に差したまま出かけてしまうような危険行為だが、自分だけは大丈夫と油断しきっているのか、パスワードの意味がわかっていないのか。
中には、新人へのこんな指摘もあった。
「4月5月あたりは、大手企業の新人さんが(中略)社内研修資料を通勤電車内で読んでいる様をよく見かけます。人事担当の方は、配慮された方が良いのでは」
社会人になりたては、「社外秘」の認識が薄いのかもしれない。
モバイルツールの発達によって却って忙しくなった現代
しかし一方で、セキュリティ云々より「忙しすぎるから」と訴える声もある。
「こうして情報管理意識の低さを嘲笑するツイートが時々あるが、うちの会社含め情報漏洩防止より出先でも1分でも多く仕事をすることが最優先とされる会社が多いのだから仕方がない」
確かにポケットベルや携帯電話が出現してから、営業マンは出先でサボれない運命になってしまった。モバイルツールが発達したことにより、サボるつもりなどない単なる移動中ですら、ギチギチに仕事を詰めている。社内で残業するより、そうやって効率よく働けるのは良いことかもしれないが、そうしないと業務量が多くて回らない現実もあるだろう。
だからといって、公共の場で社内情報を大っぴらに漏らしていいわけではない。「のぞき見は良くない」という声もあったが、見えてしまうものはしょうがない。人は見てはいけないものほど見たくなるという心理を持っている。
テクノロジーの進歩もヒューマンエラーには勝てぬ
それにしても、どんなにテクノロジーが進歩しても人為的ミスは発生する。13日には、文部科学省で極秘の人事案を誤って全職員にメール送信してしまうという大失態が起きた。
日経新聞の報道によると、システムが新しくなったことによる操作ミスだという。このニュースを思い出しつつ、こんな書き込みに納得してしまった。
「いくら技術的に厳しくしても、運用する個人がこれではセキュリティはないのと同じです。 何10桁のパスワードも、付箋に書かれたメモ一枚に勝てません」
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