「スバルが持つ独自の駆動システムを新たに、このクルマ(BRZ GT300)に投入します」と富士重工業株式会社/スバルテクニカインターナショナル株式会社の平川良夫社長が会見で述べたことで、四輪駆動方式の採用がウワサされた今シーズンのGT300のBRZ。だが、その後の関係者の証言などで新たな状況が明らかになってきた。
千葉の幕張メッセで開催されている東京オートサロン2017のプレスカンファレンスで、それまでのRWD(FR)からの駆動方式変更を示唆する発言を行った平川社長。SUBARUと言えば、そのコアテクノロジー&アイデンティティのひとつとして水平対向のボクサーエンジンと独自の四輪駆動システムのシンメトリカルAWDの組み合わせが挙げられる。
実際、SUBARU/STIはかつてスーパーGT300クラスでインプレッサ、レガシィB4をAWDの駆動方式を採用して戦っていた経歴があり、メディアやファンの期待がすぐにAWDをイメージしてしまうことは致し方ない。
だが、市販車のBRZにAWDのラインアップはなく、プロモーションの観点からもBRZ GT300のみ駆動方式が変更されるというウワサにはクエスチョンが付けられていた。SUBARU/STIはGT300クラスでは2010年からはレガシィB4をFRに変更し、2012年に現行のBRZになってからもFRで参戦している。
東京オートサロン2017でのサプライズ会見の後、SUBARU/STIのブースで行われた辰己英治STIチーム総監督、井口卓人/山内英輝らが参加したトークショーの中で詳細が語られるものと注目されたが、そこではコーナー立ち上がり時のトラクション不足については話されたが、駆動方式を変更するとの明言はなかった。そして、その後の取材で徐々に真相が明らかになってきた。
チーム/メーカー関係者は「今日だけで6~7人に聞かれています(苦笑)」と、駆動方式についての話題が過熱した形となっていることに複雑な表情を見せた。そして、実は平川社長が述べた「新たな駆動システムの投入」は駆動方式のことではなく、駆動系が一新されるパワートレインのアップデートについての話だったということが明らかになった。
そのアップデートについての詳細はまた今後になりそうだが、ひとまずGT300のBRZは昨年と同じFRでの駆動方式が採用されることは間違いなさそう。社長発言を受けて思わぬウワサが先走った形となったが、それもまた、SUBARU/STIのファンの多さ、人気の高さを象徴する出来事とも言える。