ルノーF1は、少なくとも当面は、退任したチーム代表フレデリック・バスールの直接の後任者は置かず、その代わりに残ったメンバーで彼の職務を分担していくことを決めた。
11日、ルノー・スポール・レーシングは、「双方合意の上で」バスールと袂を分かつことを決めたと発表した。後にバスールは、F1活動における将来のビジョンについて他の上級スタッフとの間で意見が食い違ったため、チームのために退くことにしたと明かしている。
イギリスで開催されているモータースポーツイベント「オートスポーツ・インターナショナル」においてルノーのパートナー、インフィニティのエンジニアリング・アカデミーのメディア向けイベントが行われた際に、ルノーF1のマネジングディレクター、シリル・アビテブールは、バスールの直接の後任者は置かないと述べた。
「私としては、チーム代表という立場にいたフレッドの後任者は置かないものと考えている」とアビテブールは語った。
「(彼の退任という)あの発表にショックを受けたり、弱気になったりはしていない。この件についてはフレッドと長い時間をかけて話し合いをしたのだ」
「何とかうまくいくように試みたが、ある時点で望むようにはいかないことがはっきりした。だから我々は判断を下して前へ進まなければならない」
「チーム代表がいないという事実のせいで、チームが弱体化するとか後退すると感じるようだったら、我々は対応策を取るだろうが、現時点で私はその必要性はないと考えている」
昨年7月の体制変更で、アビテブールはイギリスに拠点を移してシャシーファクトリーであるエンストンの監督を主に行うことになると発表された。しかしその後、ファクトリーの設備拡大プランが進行、新しい人員配置が行われ、エンジンファクトリーのビリー-シャティヨンの改善も進んでいるため、アビテブールは今年すべてのグランプリに同行できるようになるとみられる。
アビテブールはこれまでバスールが担ってきた職務の一部を引き継ぐ。またマクラーレン・ホンダから移籍しチーフレースエンジニアを務めることになるキアロン・ピルビームが、トラックエンジニアリングの職務を分担することで、トラックサイドオペレーションディレクターのアラン・パーメインはドライバーたちとより緊密に動けるような体制が作られる。
アビテブールは、現代の複雑化する一方のF1において、チーム代表の役割は変化しており、ひとりの全般的に“博識”なリーダーよりも、多くのスペシャリストが必要とされていると考えている。各チームの体制によって状況は異なり、必ずしもひとりのリーダーが必要とは限らないと見ているのだ。
彼はルノーの体制改革によって、バスールがいなくなることの損失を、後任者を雇うことなしに吸収することができると感じている。
「やるべきことがたくさんあるが、我々には非常に堅固な体制があり、私としてはそれをは信頼している」とアビテブールは語った。
「ビリーではマネジメント体制にいくつもの変更を行った。エンジンについてレッドブルとやってきたことが、この体制が非常に有能であることを実証している」
「エンストンについても多少同じことが言える。多くのことが起こった。スタッフをビリーからエンストンへ移し、ロブ・ホワイトがオペレーションディレクターの役割を担った」
「多くのスタッフを採用した。今後さらに多くのスタッフがエンストンの技術部門の上級職として加入し、ニック(・チェスター、シャシーテクニカルディレクター)の指揮下で働くことになる」
「ひとつの例はキアロン・ピルビームだ。彼はマクラーレンにいたが、エンストンに戻ることを切望しているんだ」
「エンストンにボブ・ベル、ニック・チェスター、ロブ・ホワイト。ビリーにレミ・タフィンとシリル・デュモン。我々は非常に強力な体制をとっている」