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織戸学も太鼓判。ブリッド、童夢と共同開発したGT3向けシートをオートサロンで発表

2017年01月13日 17:31  AUTOSPORT web

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業務提携を行ったブリッドと童夢。2社が完成させたシートの出来を、織戸学が絶賛
バケットシート国内最大手メーカーのブリッドが13日、レーシング・コンストラクターである童夢と共同開発したシートを発表。販売価格120万円のレース専用シート、『ブリッド・ハイパー』を幕張メッセで行われている東京オートサロン2017で公開した。


 この『ハイパー』はスーパーGTをはじめ、世界各国のレースを戦うFIA-GT3車両向けに設計。ブリッドの高瀬嶺生社長は「FIA-GT3にはヨーロッパ人の体型を想定して設計されたシートが多いなかで、ブリッドは童夢と手を組み、アジア人の体型に合わせた設計を行いました」とそのコンセプトを述べた。

「また、シート単体で9.9kgと軽く、付属装備品を合わせた総重量でもわずか16.2kgと、世界最軽量のシートです。また我々が苦手としていたトップカテゴリー向けの商品のため販路拡大にもつながればと思います」と続ける高瀬社長。

 今回、共同開発を行った童夢の中村卓哉開発部長は「FIAの定める安全規格をクリアするため、厳しい安全試験に耐えられる設計を行い、なおかつ別次元の強度を実現しました。これらを両立してFIAの公認を得るのは、じつは難しいことなんです」と開発の背景を語る。

 ブリッドとの共同開発については「コンシューマー向けの商品を販売する機会が少ない童夢にとって、バケットシートの販売で幅広いシェアをもつブリッドと提携することは、技術面でも、マーケティングの面でもメリットが大きいと判断し、業務提携を決断しました」と経緯を明かした中村開発部長。

 発表会では、スーパーGT300クラスでFIA-GT3車両を長年ドライブしている織戸学が飛び入りで参加し、「このシートはFIAの厳しい安全基準をクリアしつつ、アジア人の体型に合わせて作られた新しいシート。ヨーロッパのGT3車両に装着されているシートは『誰が運転するんだ!?』と思うほどブカブカで、そのままではとても運転できない。だから、僕たちは隙間に詰め物をして、シート本来の機能をスポイルした状態でのドライビングを強いられているんです」と、ヨーロッパのメーカー中心のGT3カーのシートに関する意外な苦労話を披露。

「反面、このブリッドさんと童夢さんが共同開発した『ブリッド・ハイパー』は、大げさな詰め物をせずに自然なドライビング・ポジションを取ることができる、まさにレースに勝つために設計されたシートですね」と、太鼓判を押した。

 今回お披露目された『ブリッド・ハイパー』は、2018年から適用されるシートに関する新たな安全規格を満たしており、現在、日本含むアジアを中心に先行受注が開始されている。