ルノーF1チーム代表の座から退いたフレデリック・バスールが、F1における方向性についてルノー上層部に意見の食い違いが生じたことが、退任を決めた理由であると明かした。
11日、ルノー・スポール・レーシングは、同社とバスールが“双方合意の上で”袂を分かつことを決めたと発表した。今後は会長のジェローム・ストールとマネジングディレクターのシリル・アビテブールがチームを率いていくという。
バスールは退任を決めた理由について自身の口から説明、上層部の意見が一致しない状態が続くようではルノーがF1で飛躍するチャンスがつぶれてしまうという結論に達したと述べた。
「チームの上層部における構想があまりにも異なっていた。そのため、この段階で去るのが妥当であると考えた」とバスールは語った。
「F1でいい仕事をするには、チームのリーダーはひとりで、方向性もひとつでなければならない」
「異なる構想がふたつあると、チーム内部の仕事が遅くなってしまう」
バスールは退任を決めたのは先週のことであると明かした。シーズンオフに入ってからチーム上層部の他のメンバーと話し合いを行った後に決断したということだ。
「昨シーズンが終わってすぐに話し合いを行った。2017年に向けて、最良の妥協点と組織体制を見つけようと試みた」とバスール。
「1、2週間の休暇を取り、1月の最初の週に決心した。今やめる方がずっといいだろうと思った」
「少し残念だが、いくつかの点において、ともにいい仕事を成し遂げたと、前向きな気持ちを持っている。人材採用、体制の再構築、トラックオペレーションなどに関してだ」
「昨シーズンの間に大きく向上したし、今後数週間から数カ月にかけて、強力なエンジニアが何人かチームに加わることになっている」
「1,000人のチームスタッフとともに働くことは、私にとって素晴らしい経験だった。ここは本物のレーシングチームだからね」
「不満なのは、たとえば家の土台を築いている時に最初の1メートルで作業をやめるようなものだからだ」
「だがそれはもういい。私は決断を下したのだから」
■「2017年にルノーはトップ5に入れる」
バスールは、今年ルノーにはコンストラクターズ選手権の上位半分に入るための、すべてが揃っていると考えている。
「目標は上位5位以内に入ることだ」と彼は語った。「今では強力な基礎があるから、それは現実的な目標だ」
「経験豊かなスタッフが新しく加入し、ルノーのパワーユニット向けにデザインされた最初のマシンができるんだ」
「エンジンも大きく改善されている。すべては順調だ」
今後F1にはかかわらないのかと尋ねられてバスールは次のように答えた。
「正直とてもいい経験だったよ。多くのことを学んだ」
「私が復帰する次のプロジェクトはあるかと言われたら、それは分からない。そのうちはっきりするだろう」
「だが私はレースに真の情熱を持っているし、レースというものはF1だけではない。それ以上のものなんだ」