2017年の世界ラリークロス選手権(WorldRX)に向け、2度の世界チャンピオン獲得経験を持つペター・ソルベルグが、フォルクスワーゲンとのワークス契約を締結。自らのチームであるPSRXからエントリーし、フォルクスワーゲン・ポロRXをドライブすることとなった。
2003年に世界ラリー選手権(WRC)も制し、これまでで3度の世界王者となったペターだが、ラリークロス転向後、自ら開発を進めてきたシトロエンDS3 RXから初めてマシンをスイッチする。
ソルベルグはモンスター・エナジーとフォルクスワーゲン・スウェーデンのバックアップを得て、フォルクスワーゲン・モータースポーツと協力体制を構築。ヨハン・クリストファーソンとともにワークスマシンのポロRXを走らせることとなった。
フォルクスワーゲンも、2014~15年とシリーズ連覇を遂げているペターと契約することで、いまだ果たせずにいるラリークロスでの世界タイトル獲得を狙う。
「正直に言って、これは本当に夢見てきたことだ」とソルベルグ。
「この契約をまとめるため懸命に努力してきたが、ここに至るまで少し時間がかかった。しかし、今年のチャンピオンシップに向けて本当に大きな力になると信じているよ」
「フォルクスワーゲンがモータースポーツで、どれだけ強力な存在であるか、僕らは目の当たりにしてきた。WRCでの戦いぶりを見れば、それは明らかだろう。そんな彼らと世界ラリークロスで戦えるなんて、信じられないよ」
今回のフォルクスワーゲンとの提携は、ソルベルグにとってふたつのメリットがある。ひとつは、元戦友とも呼ぶべきエンジニア、“FX”ことフランソワ-クサビエ・ドゥメゾンとふたたびびタッグを組むことができる点。そしてもうひとつが、クリストファーソンとの2台体制でデータ共有ができる点だ。
ソルベルグは「WRC時代にスバル・ワークスや僕のチームでともに戦ったドゥメゾンは、僕が本当に働きたいと思っていた男であり、このスポーツでもっとも尊敬する人物だ」と、ドゥメゾンに全幅の信頼を寄せる。
「FX(ドゥメゾン)は僕がクルマに望むものが何かを知っているし、彼自身も、僕のためにどうすれば速いクルマを用意できるかを熟知している」
また2台体制を敷くことで、データ共有の面だけでなくマニュファクチャラーズタイトルを争う点でもアドバンテージを得る。チーム監督も兼任するソルベルグは、そのメリットも強調する。
「ヨハン(・クリストファーソン)がもう1台のマシンをドライブすることで、僕たちは強力なチームになる。彼は信じられないほどの可能性を秘めた強いドライバーだからね」
「マニュファクチャラータイトルを争える立場にいることは、本当に夢のようで信じられないほど光栄だよ」
フォルクスワーゲン・モータースポーツのディレクターであるスベン・スミーツは、WRC撤退後のラリークロスへの注力に関して「将来の目標と密接に結びついている」と語った。
「長い間、ラリークロスというカテゴリーを注意深く見守ってきた。我々はすでに北米のGRC(グローバル・ラリークロス)でアンドレッティ・オートスポートと協力体制を築き、昨シーズンはドライバー/マニュファクチャラーの両チャンピオンシップで大成功を収めた」
「今回、ソルベルグのチーム、フォルクスワーゲン・スウェーデンと提携したことで、同じことが起こせると期待している」
「チーム運営はソルベルグが行い、スポンサーマネジメントはフォルクスワーゲン・スウェーデン、我々は技術サポートを提供する、という役割だ」
ペターによるフォルクスワーゲン・ポロRXのテストは、週明けにも開始される予定となっている。