F1公式タイヤサプライヤーのピレリは、初期解析によると2017年のF1タイヤはデグラデーションが非常に低いものになるという結果が出ていると明かした。しかし実際の2017年型マシンで走行し始めた時に予想外のことが起こる可能性もあると考えている。
2017年シーズンに向けてF1テクニカルレギュレーションが大幅に変更され、その一環として、タイヤマネジメントをやりやすくすることを考慮して改良された、新しいコンパウンドの幅広いタイヤが導入される。
去年ピレリはメルセデス、レッドブル、フェラーリのモディファイ版2015年型マシンを使って24日間にわたりテストを重ねた。ピレリは2011年にF1に復帰して以来、しばしばデグラデーションの高さが批判されてきたが、新しいタイヤにはそういったことは起こらないだろうと楽観視している。
「完全に新しいコンパウンドになる」とピレリF1レーシングマネージャー、マリオ・イゾラが語った。
「デグラデーションが非常に低いことが分かった。ただ、シミュレーションはシミュレーションにすぎない」
「高温下で走る機会がしばしば訪れるシーズン後半には、チームは完全に異なるパフォーマンスレベルで走ることになるだろう」
デグラデーションを低くすると同時に、ピレリは、タイヤの温度をより簡単にコントロールできるようにしてほしいというドライバーからの要請にも応えられたと考えている。
イゾラは加えて「まれにオーバーヒートが認められたが、すぐに最適な数値に戻った」と語った。
「ドライバーから、この件に関して具体的な要請を受けていた。レース中に前のマシンにぴったりついて走っていると、ダウンフォースを失い、スライドが増え、結果的にタイヤがオーバーヒートしてしまうからだ」
「我々の目標は、タイヤを瞬時に通常のコンディションに戻し、グリップが改善するようにすることだ」
「テストではこの目標が達成されたのを確認したが、実際のマシンでそれを確認する必要がある。したがって、最初の2、3戦を待たなければならない」
しかしイゾラは、テストに使用したモディファイ版2015年マシンは「パフォーマンスが少々不足している」ため、これから得たデータに頼りすぎると判断を誤る可能性があると認めている。
バルセロナ・サーキットのシミュレーションでパフォーマンスレベルを比較すると、全開率は2016年にはラップの50パーセントだったのに対し、2017年のマシンでは70パーセントに飛躍的に増えるとの結果が出ている。
初期分析によると、バルセロナのターン3は今年は全開で走り抜けるコーナーとなり、おおよそ20mphほど速くなる見込みだ。
「(2017年型マシンに)想定したダウンフォースレベルをシミュレーションするためにモディファイしたマシンを使ったが、2017年(型マシン)に得られる真のパフォーマンスは見られなかった」とイゾラ。
「各チームから送られてきたシミュレーションを見たが、新車のパターンに基づけば、実際のパフォーマンスはモディファイ版マシンで確認したレベルより優れたものになるだろうことが分かっている」
「そうしたことから、最初の走行テストとシーズン序盤数戦から得られるフィードバックに関し、まだ明らかになっていない部分があると考える」