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ジェイエステティックに是正勧告、元店長「休日に100件以上のラインが飛んできた」

2017年01月11日 17:02  弁護士ドットコム

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労使の36協定を結ばないまま残業させたり、時間外の割増賃金を払っていなかったりしたなどとして、エステサロン「ジェイエステティック」(運営:フォウルビ)の東京都内の2店舗に対して、労働基準監督署から労働基準法違反に基づく是正勧告が出ていたことがわかった。労働組合「エステユニオン」が1月11日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いてあきらかにした。


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同ユニオンによると、是正勧告を受けたのは、東京都中央区と品川区の2店舗。勧告日は、中央区の店舗が昨年8月25日付で、品川区の店舗が昨年11月29日付。運営会社は「是正勧告を受けたことは事実で、真摯に受け止めて改善につとめている」とコメントしている。


是正内容は、中央区の店舗については、労使の36協定を結ばないまま違法残業させたことや、休憩時間をとらせなかったこと、休憩時間の賃金や時間外の割増賃金を支払っていなかったことだ。品川区の店舗については、休憩時間をとらせなかったことや、時間外の割増賃金を支払わなかったことだった。


●「休日出勤の記録を残さないよう指示された」

ユニオンに所属する組合員4人が同日の会見に出席して、エステサロンでの労働実態を明らかにした。


中央区の店舗につとめていた20代女性は昨年7月、うつ病の診断を受けて休職中。定時より15~30分ほど早く出勤して、午後9時を過ぎるまで残業していることが多かったそうだ。残業中は施術練習や掃除、カルテチェックしていた。休日出勤もしていたが、ゼネラルマネージャーから、記録を残さないよう指示されたという。


中央区の店舗で店長をしていた女性は昨年7月、自律神経失調症を患って、現在休職中だという。「10年以上勤めているが、スタッフから店長になるまでも、長時間労働だった。私は、結婚して子どもがいるが、体力的にも精神的にもつらい部分があった」と話した。


品川区の店舗で店長だった30代女性は昨年8月、うつ病の診断を受けて、すでに退職している。休憩時間は1日1時間以上確保されておらず、固定残業代を超過した給料は支払われていなかったという。また、休日も1日100件以上のラインが飛んできて、「返信しないとゼネラルマネージャーに怒られた」と打ち明けた。


●「是正勧告後も改善されていない」

中央区の店舗で現在もはたらく20代女性は、長時間労働が原因で退職する予定だという。「是正勧告を受けたあとも、実際はお客さまの対応に追われるなど、休憩時間を60分とれることはほとんどなかった。労働時間が長くて、終電で帰ることが多く、つらかった」と話した。


エステユニオンの佐藤学さんは「是正勧告を受けたあとも、改善がされていない実態がある。組合員以外からも相談の連絡が増えてきている。会社側に対しては、全社的な改善を求めていきたい」と述べた。


運営会社は、弁護士ドットコムニュースの取材に「是正勧告を受けたことは事実で、真摯に受け止めて改善につとめています。品川区の店舗については、改善報告書を品川労基署に提出しました。中央区の店舗について、未払い賃金に関して組合側と交渉中です」と回答した。


(弁護士ドットコムニュース)