ウイリアムズF1チームの副代表を務めるクレア・ウイリアムズは、チームに資金を持ち込む“ペイドライバー”たちが批判の対象になる風潮について「理解に苦しむ」と述べた。
ランス・ストロールは、トミーヒルフィガーなど大手ファッションブランドの大株主で、億万長者の父ローレンスからの援助を受け、駆け足でキャリアを重ね、2016年はヨーロピアンF3でチャンピオンを獲得。2017年はウイリアムズでからF1デビューを飾る。
ストロールの加入により、活動資金が豊富になったプレマレーシングで、彼は2016年のヨーロピアンF3に参戦し圧勝。並行して、ウイリアムズのドライバー育成プログラムにも加入し世界各地のサーキットでテスト走行を重ねた。これは1997年のワールドチャンピオン、ジャック・ビルヌーブがF1に参戦する前にウイリアムズが実施したテストプログラムに酷似していると言われている。
近年のF1は、才能があり速いドライバーより、多額のスポンサー資金をチームに持ち込むことのできるドライバーを優先的に起用するチームが多くなり、批判を浴びている。
クレア・ウイリアムズは、2008年の世界金融危機によって自動車メーカーの支援が無くなり、スポンサーも減った結果、F1の商業モデルが変化したのだと言い、ドライバーたちが資金をもたらすことを否定的に取り上げるのはアンフェアだと主張した。
「すべてのF1ドライバーについて、どのチーム代表も商業的な要素を加味し検討します」と言う。
「例えば(フェルナンド・)アロンソはチームに活動資金をもたらします。彼が直接資金を持ち込まなくとも、スポンサーを引き寄せるからです。サンタンデール銀行は彼がいるからマクラーレンとパートナーシップ契約をしています。ジェンソン(・バトン)の場合もまったく同じで、セルジオ・ペレスも然りです」
「なぜこのスポーツにおいてそのことがこれほど大きな問題となるのか理解できません。勝つためには多額の資金が必要とされるのに、チームに活動資金をもたらすドライバーのことを、なぜ否定的に言われなくてはならないのでしょう?」
「これはF1に限った話ではありません。モータースポーツ全体がとてもお金のかかるビジネスです。レースを走るために莫大な予算を持てないと上位カテゴリーには進めないのです」
「なぜチームに資金をもたらすドライバーたちが批判されるのかわかりません。それがなければ多くのチームは生き残れないし、そうなればこのスポーツそのものが無くなってしまいます」
「F1の商業モデルは変わったのです。以前よりはるかにお金のかかるスポーツになったために、時にそうした状況が発生するんです」
また、クレアはストロールがF3から一気にF1に昇格したことが、チームにとってリスクが大きいのではと考える声に対し、F1で18歳の彼が成功できるかどうか「判断を留保」すべきだと考えている。
「マックス・フェルスタッペンにも同じことを言いますか?」とクレアはストロールの昇格について聞かれてこう切り返した。
「ランス(ストロール)については慎重に扱い、判断を留保すべきだと思います。彼はその年齢にもかかわらず、大きな成果を上げてきました。参戦したすべてのチャンピオンシップで勝ってきたのですから」
「彼は新人として走ります。そして、ミスも犯すでしょう。でもこれまで私たちが見てきたことのすべてから言えるのは、彼にはとても早く学ぶ力があるということです」
「私たちは、彼が自身の能力を証明し、自分がシートに座るにふさわしいということを証明するチャンスを与えるべきなのです。ウイリアムズは野望を持ち、シリアスに取り組むチームです。彼が好成績をもたらすと信じていなければ、私は彼を走らせたりしません」