シルバーストンサーキットのオーナー、ブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブ(BRDC)は、イギリスGP開催契約を解除することを検討していると認めた。しかしF1の新しい商業権所有者と政府支援があればイギリスGPを救えるかもしれないという。
BRDC会長のデレック・ワーウィックは昨年9月に、F1レースの運営による経済的な負担が大きくなりすぎていると発言した。
昨年のクリスマス前にBRDCのチェアマン、ジョン・グラントが会員に送った書簡には、クラブが解約条項の発動を検討していることが示唆されていた。
シルバーストンが現在結んでいるイギリスGP開催契約の期間は2026年までとなっているが、2019年のレース終了後に有効となる解約条項が存在する。
これを発動するには、今年7月に開催されるイギリスGPの前に手続をとる必要がある。
しかしグラントは、リバティ・メディアがF1商業権への関与を深めることで、良い方向へ進み出せると確信している。
「いくつかのことが、我々にとって有利に働きつつある」とグラントは述べた。
「近い将来、F1オーナーが交代することが、中期的な助けになるはずだ」
「リバティは我々の考え方に深く共感しているようだ」
「我々は経済面での諸要素のバランスを取り戻す必要がある。多岐にわたる道を検討し、多くの関係者と話をしているところだ」
■政府の支援にも期待
もうひとつ期待することが可能なのは行政からの援助だが、今まで基本的にシルバーストンの救済のために政府から資金が出たことはない。
「公的資金を使うという、切実な議論もなされている。だがF1がリッチなスポーツだと見られていることは承知している」とグラントは語った。
「私も補助金を引き出すのが政治的に可能だとは思わない。しかし、他の形での公的サポートなら実現の余地はあるだろう」
グラントはまた、たとえBRDCが解約条項を発動しても、それが必ずしもイギリスGPの終わりを意味することにはならないだろうと述べた。
「仮に行使するとしても、それがすべての終わりになるとは考えていない。むしろ、さらなる交渉の基盤となるだろう」
「我々は取り返しのつかないことだとは考えていない」
■売却の緊急性はなくなる
BRDCは財政的な問題を解決するため、昨年、シルバーストン売却の可能性についていくつかの企業と交渉してきた。
しかし最近の状況の進展により売却を急ぐ必要がなくなり、GP開催についての意志決定が現在の最優先事項となっている。
グラントはBRDCの財政状況はより盤石になっていると確信している。2018年から世界ラリークロス選手権の開催が決まり、また、ヘリテージ・エクスペリエンスから2,000万ポンド(約28億1,400万円)の財政支援の承認が下りたのだ。
「我々はヘリテージ・ロッテリー・ファンドから素晴らしい支援を取りつけることができた。また、地元の審議会や企業パートナーが必要な残りの資金を提供してくれるために協力してくれている」とグラントは語った。
「これは大きな一歩だ。これで毎年50万人の新しい観客をシルバーストンに引き寄せることになるのだから」
「そして長年我々が課題としてきた、ホテルに関する強力なビジネスに取り組むこともできるだろう」
「こうしたすべてのことが望む形で進み始めているため、概してより楽観的に感じている。(シルバーストン売却の)契約をすぐに進めなければいけないというプレッシャーも以前より小さくなった」