深刻な人材不足に陥っている建設業だが、その中でも魅力的な企業は存在する。施工管理士コミュニティサイトを運営するC4 は、2016年末、建設技術者を対象にしたアンケート調査の結果を発表した。
学生が選んだものではなく、施工管理技士を中心とした実際に建設業に携わる人たちが選んだランキングは、生の声として貴重である。(文:okei)
半数以上がスーパーゼネコン希望だが「大手以外が良い」という人も
調査は2016年12月1日から15日にインターネット上で実施。150人から回答を得た。「働きたいゼネコンはどこ?」への回答は、以下の結果となった。
1位 清水建設(27人)
2位 鹿島建設(20人)
3位 竹中工務店(17人)
4位 大林組(12人)
5位 大成建設(8人)
6位は西松建設・NIPPO共に3人、その他51人は東急建設、前田道路、地場ゼネコンなどを挙げた。150人のうち全体の56%に当たる84人が名の通ったスーパーゼネコンを挙げる一方で、地場ゼネコンと回答する人も多く、なかには「大手以外が良い」という声もあった。
企業名よりもこだわるポイントとして、「海外に力を入れているゼネコンが良い」「鉄道工事に関われる会社」「経営状態が良い会社」「現場が美しいところ」などの理由が挙がった。技術職だけに、やりたいことの方向性によって希望する企業は変わってくるようだ。
筆者は地方の中堅ゼネコンに勤めた経験があるため、「大手以外が良い」という人にその理由を聞いたことがある。学歴に関係なく若いうちから現場を任されるからだそうで、実際使えない大卒者より出来る高卒社員がどんどん頭角を現していた。本当に実力の世界なので、優秀な人はやりがいがあるだろう。
経験者が語る理由「良い技術者が多かった・現場の雰囲気がよかった」
調査では、アンケート後に一部の回答者へ「何故その企業名をあげたのか」理由を訪ねている。
「(性格的に)良い技術者が多かったから」
「現場の雰囲気が良かったから」
など、過去の現場経験に基づいて判断しているケースが多かった。建設業はJV(ジョイントベンチャー)など他社と共同で行うプロジェクトもあり、外部の社員と接触し社風を知る機会が多い。清水建設の人気はそうしたことの積み重ねと考えると説得力がある。
その逆で、この調査では結果は非公開であるものの、「嫌な態度の人がいたゼネコン」「所長の態度が悪いゼネコン」という理由で「働きたくないゼネコン」になってしまう企業もあったようだ。筆者は人気ランキングに入った企業のOBが上司だった時期があるが、「現場が汚いのはろくな会社じゃない」とよく聞いた。
発表リリースでは「建設業界では、まさに社員一人ひとりが会社の看板を背負っている、と言えそうです」と分析していたが、まさにその通り。いい会社にはいい人材が育ち、自ずと人が集まってくるのだろう。