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ワンオク、ブルエン、ブライアン、ミセス、FIVE NEW OLD……2017年はバンドの活躍に期待!

2017年01月10日 13:11  リアルサウンド

リアルサウンド

ONE OK ROCK『Ambitions』

 世界を視野に入れた活動を続けているONE OK ROCK、昨年10月に初の日本武道館公演を成功させたBLUE ENCOUNT、2017年のブレイク候補の筆頭であるBrian the sun、Mrs. GREEN APPLE、そして、ジャンルレスな音楽性で注目を集めるニューカマー、FIVE NEW OLD。ロックシーンの豊かな可能性を感じさせてくれる5バンドの新作を紹介します!


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 昨年6月に5 Seconds Of Summerのツアーに同行して20公演以上のアメリカツアーを行い、さらに9月に開催された静岡・渚園でのワンマンライブ2daysでは約11万人を動員。国内外で躍進を続けるONE OK ROCKの新作は、『Ambitions』というタイトル通り、さらなる野望、大志を生々しく反映させた作品となった。もっとも顕著なのは、音楽性の広がり。彼らのルーツであるモダンヘビィロック、エモを軸にしながらも、R&B、トロピカルハウスなどのテイストを取り入れることで、よりボーダレスなサウンドを体現しているのだ。日本向け、アメリカ向けではなく、可能な限り多くのリスナーに開かれた音楽を目指す。その真っ当なスタンスこそが、ワンオクの推進力になっているのだと思う。


 初の日本武道館公演を即日ソールドアウトさせ、NHKで特別番組が放送されるなど、2016年一気にブレイクしたBLUE ENCOUNT。シングル曲「はじまり」「Survivor」「だいじょうぶ」「LAST HERO」を含むニューアルバム『THE END』は、“エモーショナル・ロックバンド”というパブリックイメージを大きく逸脱したアルバムに仕上がっている。ドラマティックなメロディを軸にしたバラード「THE END」、アグレッシブなメロコアチューン「HEART」、ストレートなラブソング「涙」、そして、田邊駿一(Vo./Gt.)の人生がそのまま刻まれたラップ・ナンバー「city」。決して守りに入らず、オーディエンスにおもねることもなく、“とにかく、自分たちがやりたいことをやる”というモチベーションに貫かれた意欲作だ。


 Brian the Sunの結成10周年のタイミングでリリースされるメジャー1stアルバム『パトスとエートス』。骨太という言葉が良く似合うロックバラード「Impromptu」、彼らのルーツのひとつであるアークティック・モンキーズの影響を感じさせる「Physalia」、鋭利にして多彩なバンドサウンドとともに、感情と道徳がせめぎ合う状態を描いたタイトル曲「パトスとエートス」など、バンドの独自性が色濃く反映された楽曲が並んでいる。地道なライブ活動によって、バンドとしてのスタイル、音楽性を磨き上げてきた彼ら。効率的に知名度を上げるのではなく、長く音楽を続けることを視野に入れながら、まずは地力を付ける。その真摯な姿勢こそがBrian the Sunの軸であり、その成果は本作にも確実に表れている。


 メジャー1stアルバム『TWELVE』からちょうど1年ぶりのリリースとなる2ndアルバム『Mrs. GREEN APPLE』。シングル「サママ・フェスティバル」「In the Morning」、映画『ポエトリーエンジェル』(2017年5月公開予定)主題歌「soFt-dRink」、さらにメジャーデビュー以前にライブ会場限定でリリースされた「FACTORY」が新アレンジで収録されるなど、バンドの過去と現在、そして未来のビジョンがリアルに刻まれた作品だ。生楽器の響きを活かしつつ緻密に構築されたアレンジとともに“生きていくとはどういうことか?”というテーマに正面から向き合った「Lion」、壮大なスケールのストリングスを取り入れたロックバラード「鯨の唄」など、新曲も充実。二十歳のメインソングライター・大森元貴の才能が(ようやく)露わになった本作は、バンドにとっても大きなターニングポイントとなるだろう。


 2010年に神戸で結成されたFIVE NEW OLDの4曲入りEP。シンセパッドを取り入れたトラックとR&Bマナーを色濃く反映したメロディがひとつになった「Stay (Want You Mine)」、80sニューウェイブ感覚に溢れた煌びやかなロック・チューン「Hush Hush Hush」、軽快なカッティングギターを軸にしたバンド・グルーヴが印象的な「P.O.M.」、憂いを覚えたメロディラインが心地よく上昇していくダンスナンバー「Burned in The Fire」と超キャッチーな楽曲が揃った本作からは、このバンドの音楽的な知識の深さ、それをオリジナル曲へと結びつけるソングライティング/アレンジメントの高度なセンスが伝わってくる。 “ジャンルに捉われず、さまざまな音楽、カルチャーとつながりたい”というテーマを掲げるバンドは多いが、それを実現する可能性を持った極めて稀なバンドだと思う。(森朋之)