■CESで賑わうラスベガスを舞台にeレース開催
アメリカ・ラスベガスで開かれた家電見本市CES会場内において、7日、フォーミュラEは賞金総額100万米ドルのeスポーツ大会を主催した。
「ベガスeレース」と銘打たれたこの大会、現行シーズンに参戦中のフォーミュラEドライバー20名全員と、オンラインでの予選を勝ち抜いたシムレーサー(eスポーツプレーヤー)10名を加えた計30名が、レーシング・シミュレーターによるヴァーチャルレースの腕前を競い合った。
初代王者の座についたのは、ファラデーフューチャー・ドラゴンレーシングからエントリーした22歳のプロゲーマーで、ポールシッターともなったボノ・フイス(オランダ)。
優勝賞金20万ドルと、ポールポジション獲得の賞金2万5千ドル、合わせて22万5千ドルをたった一日で手中にした。一方2位(賞金10万ドル)はプロドライバーのフェリックス・ロゼンクビスト(スウェーデン)、3位(同5万ドル)にはシムレーサーのオリ・パカラ(フィンランド)と、マヒンドラ・レーシング勢がダブルポディウムを飾った。
またファステストラップ(同1万ドル)は、ルノーe.ダムス所属で15位に終わったダビッド・グレコ(イタリア)が記録した。
レース会場は実際のラスベガスの公道を元にデザインされた1周3.13キロメートル、コーナー数20の仮想市街地サーキット。
rFactor2ベースで開発された競技環境でフリー走行、タイムアタック式の予選とスーパーポールセッションなど、普段のフォーミュラE選手権の流れに沿った進行だったが、レース時におけるシミュレーターの最大稼働数が20台であったことから、周回数を減らした「準決勝」レースが、決勝のスターティンググリッド下位(11位以下)を決めるために予選11位以下の20台で追加実施されるなど、独自のアレンジも施された。
またシムレーサー10選手を、選手権参戦中の10チームに一人ずつ所属させるという試みも、今大会をより興味深いものとするのに一役買っていた。
かつてはコンシューマー・エレクトロニクス・ショーの名で知られたCESは創設以来半世紀の歴史を誇り、来場者、出展関係者、報道陣の総数は、4日間の会期中で17万人を超える(*)、名実ともに世界最大級のトレードショー。
自動運転技術やIoT分野拡大の波は、自動車産業と電機業界のボーダーレス化を促進し、近年ではこの由緒ある展示会も一種のモーターショーと化してきている。
フォーミュラEのアレハンドロ・アガグ代表は今回の企画について、「テクノロジー分野において世界で最も影響力のあるCESに、レースをeスポーツとして持ち込むことができた。引き続き新しく革新的な方法を模索していきたい」と興奮気味に語った。
従来のモータースポーツ界にはなかったeスポーツとの融合という発想について、eレース会場へ足を運んだFIA(国際自動車連盟)のジャン・トッド会長も、「若いファン層の開拓は急務。そしてファンの嗜好は時代とともに変わっていくもの。デジタル領域でチャレンジできることについては今後もどんどん取り入れていきたい」と、積極的に協力していく姿勢を見せた。
このeレースの結果は、現在行われている2016/2017FIAフォーミュラE選手権の総合ポイントには反映されない。第3戦となる次回は、2月18日(土)に南米アルゼンチンのブエノスアイレスで開催される。
*2016年実績(主催者Consumer Technology Association発表資料による)