マクラーレンのパワーユニットパートナーであるホンダが、2017年型F1パワーユニットの変更に際し、メルセデス方式のレイアウトを採用する見込みであると、英AUTOSPORTが報じた。
昨年まではトークンシステムによってF1パワーユニットの開発が制限されてきたが、これが2017年に廃止されたことで、デザインを大きく変更する余地が生まれた。その利点を活用し、ホンダの2017年型F1パワーユニットは、F1に復帰してからの過去2年間の教訓を生かしつつ、構造とレイアウトが一新されたと、マクラーレンのテクニカル・ディレクター、ティム・ゴスは認めている。
「2017年に向けて、ホンダエンジンの構造とレイアウトは、パフォーマンス面、パッケージング面の両方の要求に応える形で変更された」とゴス。
「新しいパワーユニットには、過去2シーズンに得た教訓を多く取り入れられているが、今シーズン用に特別に再設計された」
具体的な変更点についてはマクラーレンもホンダも明かしていない。しかし、ホンダF1総責任者の長谷川祐介氏が、F1復帰にあたって採用したコンパクトな“サイズゼロ”のコンセプトから離れることにゴーサインを出したとの情報を得たと、英AUTOSPORTが伝えた。
“サイズゼロ”のデザインにおいて、パワーユニットのパッケージングをできるだけコンパクトにするため、タービンとコンプレッサーを内燃機関(エンジン)のVバンクの中に収めるスプリットターボ方式が採られた。
しかしホンダはそのコンセプトの欠点が利点を上回っていると考え、メルセデス式のレイアウトに変えることを決めたという。王者メルセデスは、エンジンの片側にコンプレッサーを、もう片方にタービンを配置する方式を採っている。
メルセデス同様、ターボチャージングシステムのふたつの要素、タービンとコンプレッサーはVバンク内を渡るシャフトでつながれる。
さらに、インタークーラーはシャシーとパワーユニットの間に収められ、それによってパワーユニットの重心は大幅に下げられる。
パワーユニットのサイズはこれまでよりわずかに大きくなるが、それでもマクラーレンは2017年型MP4-32のリヤエンドのパッケージングを非常にタイトに抑えることが可能であると考えられている。
昨年、エネルギー回生の性能が大きく向上したと感じたホンダは、内燃機関の改善に重点的に取り組んできた。
ホンダはまた、フェラーリが有効に活用しているターボジェットイグニッションシステムに類似した、マルチジェットインジェクターシステムを採用するものと予想されている。