是枝裕和監督の新作映画の製作が発表された。
新作は勝利にこだわる弁護士・重盛と、元勤務先の工場の社長を殺した殺人犯・三隅の姿を描く法廷サスペンス。死刑が確実とされている三隅の弁護を引き受けた重盛が、三隅と交流するうちに動機に疑問を抱くようになり、真実を知ろうとする様を描く心理劇となる。
弁護にあたって真実を知る必要はないという考えを次第に変化させていく主人公・重盛役を演じるのは、是枝監督の映画『そして父になる』でも主演を務めた福山雅治。重盛と対峙する殺人犯・三隅役を役所広司が演じる。役所は是枝作品に初参加。また福山と役所も初共演となる。
是枝監督は同作の製作にあたって、弁護士や検事に取材を行なったほか、弁護士らの協力のもとで作品の設定どおりに模擬裁判を実施。模擬裁判でのそれぞれの立場の人物の反応や言動を脚本に取り込んだという。映画のタイトルは現時点では未定。1月中旬にクランクインし、撮影は3月まで行なわれる。公開は9月を予定。
■福山雅治のコメント
初めてご一緒させていただく役所さんとの読み合わせは、とても緊張感のある時間でした。より深く、さらに研ぎ澄まされた是枝監督の演出に応えられるよう精一杯演じられたらと思っています。
■役所広司のコメント
準備段階での是枝監督の丁寧な映画作りの姿勢に触れ、既に緊張しています。
福山さんはじめ素晴らしいキャスト皆さんとの仕事を楽しみにしています。
■是枝裕和監督のコメント
福山さんにオファーをするにあたり、近年描いてきたホームドラマに一度区切りをつけ、かねてより挑戦したいと考えていた法廷劇を選びました。そして福山さんに対峙する殺人犯役を、監督としてはある種の覚悟が必要な俳優である役所さんにお願いしました。
弁護にあたり真実を知る必要はないと考えていた主人公が、犯人と交流していくうちに事件の真実を知りたいと思うに至る過程を描く心理劇です。役所さんの胸を借りるかたちで、福山さんをいじめ、揺さぶっていきたいと思います。
福山さんと役所さんの本読みで感じた「この二人の組み合わせは新鮮で面白い」という、ドキドキした僕自身の感触をどう本編に刻んでいけるか、悩み苦しみ、楽しみにしながら脚本の最終仕上げを現在行っているところです。