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日本の男女平等「惨憺たる成績」、村木厚子さん「育休明けの労働環境が重要」

2017年01月08日 10:12  弁護士ドットコム

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男女共同参画社会のあり方について考えるシンポジウム(主催:東京弁護士会)が1月6日、東京・霞が関の弁護士会館で開催された。元厚生労働事務次官の村木厚子さんが基調講演で、日本で女性活躍を推進するための課題について語った。


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世界経済フォーラムが発表する男女平等ランキング(ジェンダーギャップ指数)で、2016年、日本は144カ国中111位と前年より10ほど順位を下げた。村木さん曰く「惨憺たる成績」となった原因は、政治や経済の場での女性参画が低いことだ。村木さんは「日本の女性は健康で長生き、教育水準もそんなに悪くはない。ダメなのは、政治や経済の場で活躍ができていないこと。つまり、育てた能力を発揮できない、もったいない国」と指摘する。


村木さんによると、女性活躍を妨げている要因は、「子育ての時期に仕事ができず、職場から去ってしまうこと」だという。「育児休業は最低限必要なことで、一番大事なことは休業が明けて出てきた後の、職場の労働条件、特に勤務時間。日本の残業時間は国際的に見てもダントツに多い」と指摘し、「女性が働くようになれば、夫婦共働きが増えることになる。女性だけではなく男性も、働き方をどう変えるかが非常に大事な課題だ」と述べた。


男女雇用機会均等法が施行されて30年の節目を迎えた2016年4月、女性活躍推進法が施行され、大企業に女性登用の数値目標を作ることなどが義務付けられた。今年1月からは改正育児介護休業法が施行され、非正規労働者が育児休業を取りやすくなるなど、様々な取り組みが行われている。


村木さんによると、フレックスタイム制度の導入など、女性が働きやすい環境作りに取り組んだ企業は、「一定期間を経た後に、非常に大きく生産性が上がる」というデータもあるという。


「女性の活躍をしっかり支援しないことは、全日本の監督が西日本だけから選手を選ぶのと同じこと。全国から、最も自分の職場に合う人を選んで、その人が働きやすい環境を作ることが生産性向上につながる」。さらに、「日本はこれから、様々な事情を抱えた異なる人を、公平に、公正に扱うことが求められる。1人1人の力が生きて、幸せな生活を送れて、かつそれが社会全体の活力につながっていくことが一番望まれることではないか」と述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)