トップへ

NMB48、新曲「僕以外の誰か」でアグレッシブな側面を強く押し出す

2017年01月07日 18:01  リアルサウンド

リアルサウンド

NMB48『僕以外の誰か』(通常盤Type-A)(DVD付)

【参考:2016年12月26日~2017年1月1日のCDシングル週間ランキング(2017年1月9日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2017-01-09/)


 2017年1月9日付の週間CDシングルランキングの1位は、NMB48の『僕以外の誰か』。2016年12月31日に放映された『第67回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にAKB48が出場した際、その出場メンバーを決める「紅白選抜」で1位になったのは、NMB48の山本彩でした。その山本彩を擁するNMB48が、2017年最初の週間CDシングルランキングを制したわけです。


(関連:山本彩、アイドルとシンガーの境界線壊す存在に? J-POP追求したソロ作がシーンに残すもの


 「僕以外の誰か」は、ドラマティックなイントロが始まったかと思うと、オートチューンのかかったボーカルによるフェイクが響きます。それに続いて始まるのは、歌ではなくラップ。Aメロは、ラップと歌が交互に出てくる構成です。そしてBメロ、サビと緊張感を維持したまま展開していきます。エレキ・ギターとプログラミングが前面に出たサウンドです。


 作編曲は、Carlos K.とAkira Sunsetによる共作。Carlos K.はこれまでもNMB48、AKB48、乃木坂46で作曲や編曲を担当してきました。また2016年には、作編曲を担当した西野カナの「あなたの好きなところ」がヒットしています。


 Akira Sunsetも、NMB48のほか、AKB48、乃木坂46、欅坂46で作曲や編曲を担当してきました。2016年の乃木坂46の「ハルジオンが咲く頃」は、Akira Sunsetが作編曲を担当した楽曲です(APAZZIとの共作)。


 Carlos K.が作編曲を担当した西野カナの「あなたの好きなところ」は、ハンドクラップとストリングスの音色が大きなアクセントになっている、スケールの大きなサウンドでした。また、Akira Sunsetが作編曲を担当した乃木坂46の「ハルジオンが咲く頃」は、ストリングスの音色とプログラミングを中心にしたサウンド。こうした2曲と作者は同じなのに、NMB48の「僕以外の誰か」は作風がかなり異なります。


 NMB48の「僕以外の誰か」のMVを見ると、ダイナミックなダンスシーンが印象的です。そうしたダンスサウンドを志向しつつも、サビでは聴き手の琴線に触れるメロディーを紡いでいるところが、「僕以外の誰か」という楽曲の肝であるように感じます。踊れるビートと、胸にしみこむようなメロディーをあわせもつ楽曲なのです。


 カップリングの「途中下車」では、一転してミディアム・ナンバーに。アコースティック・ギターが右チャンネルだけから鳴る大胆さに驚きました。スティール・ギターとストリングスの音色が中心になっている、アコースティック感覚の強いサウンドです。


 作曲は川島有真。NMB48のほか、AKB48、SKE48、HKT48にも楽曲を提供してきた作家です。編曲は板垣祐介。これまでもNMB48、AKB48、SKE48で作曲や編曲を担当してきました。彼は、田村ゆかりや小倉唯といった声優にも楽曲を提供しています。


 今回私が聴いたCDは、『僕以外の誰か』のType-Aでした。そのため、もう1曲のカップリングはTeam Nの「孤独ギター」。作曲を担当しているのは山本彩です。彼女は、NMB48の前作「僕はいない」では「今ならば」を作曲し、2016年のソロ・アルバム「Rainbow」では作詞作曲もしていました。そして、これだけなめらかにしてキャッチーなメロディーを「孤独ギター」で聴くと、すでに一人前のソングライターだと感じます。編曲はAKB48関連ではおなじみの野中“まさ”雄一。ヘヴィなギター・ロックに仕上げています。


 ここまで紹介してきたように、『僕以外の誰か』のType-Aでは、3曲は鮮やかなまでにそれぞれ別のベクトルを向いています。そんな中でも「僕以外の誰か」は、NMB48のアグレッシブな側面を強く押し出している楽曲なのです。(宗像明将)