2017年01月07日 10:42 弁護士ドットコム
配偶者は長時間労働で、平日は不在。そんな家庭で起こるのが、1人で育児をおこなう「ワンオペ育児」という問題。東京都内在住の会社員、ミカさん(34)もその1人ですが、昨年末(2016年末)で有給休暇を使い果たし、愕然としています。「うちの子たちは、3月までに絶対に病気をします。もう、退職するしかないんでしょうか?」。
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ミカさんの夫は長時間労働と出張とで、不在がち。小学生(8歳)と保育園児(1歳)の2児を抱え、会社、育児、家事でてんてこ舞いな日々を過ごしています。そんなミカさんには今期、15日間の有休休暇がありました。しかし「下の子の病気が続いたところに、上の子の学級閉鎖で撃沈しました。有休を取得しやすい文化はあるのですが、日数すべてを消化する人はいません」と頭を抱えています。
「下の子も、3歳を過ぎれば、病気にもなりづらくなると思います。なので、なんとか続けていきたいのですが、有給休暇を使い切ってしまうと、もう退職するしかないのでしょうか」と話していました。
このような場合、鈴木謙吾弁護士は「『子の看護休暇』制度を利用できるでしょう」と指摘します。ミカさんのように、子どもの病気のために休まざるを得ない人が知っておきたい「子の看護休暇」制度について、鈴木弁護士に聞きました。
● 利用しやすくなる「子の看護休暇」
まず、子どもが病気になった場合などに、法律上労働者が取得できる休暇として「子の看護休暇」という制度があります。
「子の看護休暇」とは、「負傷し、又は疾病にかかった子の世話又は疾病の予防を図るために必要な世話」を行う労働者に対して法律上与えられる休暇です。1年度において5日(未就学児が2人以上の場合は10日)を限度に、半日単位で与えられます(平成29年1月より条件が緩和されて利用しやすくなりました)。
有給休暇とは別に、労働者(正確には一部の労働者を除きます)の権利として保障した休暇ですので、休んでも「欠勤」として扱われることはありません。ご質問のミカさんは、未就学児を1人抱えていますので、1年度において5日を限度として、有給休暇とは別に会社を休むことができます。
ただし、会社は「子の看護休暇」を利用した日を「無給」としても問題がない点に注意が必要です。給料が支払われる有給休暇制度とは、給料の有無という点で大きく異なっています。
最後に、ミカさんが心配している「欠勤」が「解雇」につながるかという点ですが、「解雇」が法律的に認められるためには、客観的に合理的な理由が必要です。そのため、労働者の欠勤に「子供の病気」等の正当な理由があれば、会社側から一方的に解雇処分を行うことは一般的に困難であると考えられます。
【取材協力弁護士】
鈴木 謙吾(すずき・けんご)弁護士
慶應義塾大学法科大学院教員。東京弁護士会所属。
事務所名:鈴木謙吾法律事務所
事務所URL:http://www.kengosuzuki.com