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西野カナレコ大受賞曲手がけた作曲家・Carlos K.、他クリエイターも嫉妬するその手腕を読む

2017年01月06日 18:12  リアルサウンド

リアルサウンド

西野カナ『あなたの好きなところ』

 西野カナの「あなたの好きなところ」が、昨年2016年に発表された第58回日本レコード大賞を受賞した。女性ソロ歌手としては11年ぶり、平成生まれの女性ソロ歌手として初の受賞であることに注目が集まっているが、大賞に選ばれた同曲の作曲者、音楽作家・Carlos K.も注目すべきクリエイターだ。


(参考:Carlos K.が作曲を手掛けた代表作はこちら


 過去にブラジルに渡り、そこで触れた音楽の影響を受けて、R&BやHIPHOPのトラックを作り始めたのが曲作りの原点というCarlos K.。初めてコンペで通過した『ヘルシアスパークリング』のCM曲から、遊助、Kylee、板野友美、AKB48関係の楽曲提供へと繋げてきた。


 アーティストにとって、初めてリリースする楽曲は、自身のイメージを決定づける大事な作品。Carlos K.が手掛けた板野友美のデビュー曲「Dear J」は、エレクトロサウンドが交錯するダンス・ナンバーで、彼女のクールな魅力をとてもよく引き出されていた。また、西野カナの「あなたの好きなところ」は、サビの3連符によるリズムの変化が特徴的で、ミュージカル調の楽曲「トリセツ」に次いで、西野カナの音楽イメージに新たな雰囲気を与えている。どちらもアーティストの個性を生かし、制作された楽曲である。


 彼は、以前インタビューでトラックメイカーをしていた頃に学んだことが今の楽曲作りに影響していると話していた。


「かなりビートを研究していて、どうやったら太いビートが作れるのかを突き詰めていました。キックの音だけを聴くようにして、レイヤーを重ねて音作りに励んだことは、後のキャリアにすごく役立ちました。それがあったうえで、もともとクラシックやテクノ、ハウスやJ-POPが得意だったので、メロディを付けるにあたってこれらの音楽性をミックスしてみたら、思っていた以上に好評でした」(参考:http://realsound.jp/2015/10/post-5062.html)


 Little Glee MonsterやSUPER☆GiRLS、乃木坂46などアイドルへの楽曲提供が増え始めた頃、2015年に「オリコン2015年 年間作曲ランキング」でCarlos K.は1位を記録。2016年に受賞した日本レコード大賞と合わせても、アーティストからアイドルまで、多彩な楽曲を手掛ける音楽作家として第一線で活躍していることがわかる。


 また、1月4日に放送された『嫉妬に身を焦がすBAR』(テレビ朝日)では、現代の音楽シーンで活躍する音楽作家クリエイターらがCarlos K.を評価する声が寄せられていた。乃木坂46の16thシングル曲「サヨナラの意味」などの作曲を手掛ける杉山勝彦からは「『ああいう曲は作れない』と思う曲を作れる人」と太鼓判を押され、AKB48の16thシングル曲「ポニーテールとシュシュ」や嵐の作曲を手掛けてきた多田慎也氏は「どうやったら楽しんで作れるか追求している。他の作曲家とは違う」とコメント。かつて、音楽作家志願者を集めて開催された音楽ワークショップでは、多田氏がナビゲーターを務め、ゲスト講師としてCarlos K.が出演。それぞれの作曲方法についてトークし、ヒット曲の“仕掛け”を解説した。(参考:http://musicfactorytokyo.com/special_detail.html?id=1132)


 さらに、同番組で明かされていたのが、Carlos K.の音楽家魂に火をつけたとされる音楽クリエイター・HIRO。「ポッキー」のCM曲である三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの「Share The Love」や、Carlos K.と同じく西野カナにも数多く楽曲を提供。同い年のクリエイターとして、切磋琢磨し合う関係は、今のJPOPシーンでヒット曲を誕生させている起源にもなっているよう。


 2015年にはオリコン1位、2016年にはレコード大賞と年々ステップアップを重ねているCarlos K.。2017年1月4日には、NMB48の『僕以外の誰か』がセールスチャート1位であることが発表されたが、この表題曲もCarlos K.がAkira Sunsetと共に作曲を手掛けたものだ。2017年も幸先良い報告を受けた彼が、今年もJ-POPシーン、そして世界に向けて、どんな音楽を世に送り出してくれるのか楽しみだ。


(大和田茉椰)