2016年末にイギリス国内での新シリーズ創設が噂された、マルチェロ・ロッティ率いるTCRシリーズだが、この動きに対し、英国内でツーリングカーのトップカテゴリーとして人気を集めるBTCCイギリス・ツーリングカー選手権のディレクター、アラン・ゴウは「TCRが脅威であるとは感じない」とコメントした。
イギリスでモータースポーツ協会の会長職も兼務するゴウは、20年以上にわたりBTCC繁栄の原動力として選手権運営をリードしてきた。今回のTCR新シリーズ創設は、国内のツーリングカー勢力を二分する事態にも繋がりかねないと危惧する声もあるなか、ゴウ自身はTCRのUKシリーズが成就するのを妨げる理由はないと考えていると明かした。
「多くの人々が“TCRとBTCCの併存は不可能”と言いたげなようだが、(TCRも)その他のモータースポーツカテゴリーとなんら変わるところはない。通常のシリーズ基準を満たせば、いつだってイギリスでシリーズを始めることができるだろう」
「そう、イギリスでは誰もがレースシリーズを作ることに反対したりはしない。この20年間にサルーンをベースとしたカテゴリーがいくつ生まれたか、それはもう数え切れないほどだったはずだ。もちろん、そのすべてが存続できるかどうかはまた別の話だが」
ゴウはさらに、TCRとBTCCの共催の可能性については、サポートレースの枠に空きがないことを理由に挙げ、「実現は難しいだろう」との見解を示している。
「もちろん、BTCCにとって脅威ではない」とゴウ。
「我々よりはるかに生産車に近いマシンレギュレーションを採用しているし、性能面ではエントリーに近いレベルだ。我々は長年ルノーUKクリオ・カップやブリティッシュF4、ジネッタ・ジュニア、ジネッタGT4スーパーカップ、そしてポルシェ・カレラカップUKといった多くのサポートレースを併催している。彼ら(TCR新シリーズ)がそこに入るのは現実的ではないだろう」
「個人的な意見では、彼らはブリティッシュGT選手権などのサポートレースプログラムの併催レースの空きを注視する必要性がある。もちろん、我々としても彼らの成功を願っている」
2015年に産声を上げたTCRシリーズは、世界戦である『インターナショナル』を頂点に、アジアやヨーロッパなどの地域選手権や、各国での国内選手権を開催。
2017年は新たに中東でのウインターシリーズが発足し、中国でも国内戦を新設。また、古い歴史を持つSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権も、今季からTCR規定を採択することを発表。さらに世界選手権であるWTCCにも、TCR規定の新クラス設立がアナウンスされるなど、その勢力はさらに拡大を続けている。