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『山田孝之のカンヌ映画祭』『銀と金』『レンタルの恋』……見逃せない新ドラマは?【深夜編】

2017年01月04日 11:01  リアルサウンド

リアルサウンド

新春イメージ

 2017年1月クールの新ドラマを総チェック! 「プライムタイム」のドラマを、テレビ局ごとにひと通り眺めた「前編:『カルテット』『就活家族』『東京タラレバ娘』『嘘の戦争』…見逃せない新ドラマは?【プライムタイム編】」に続く「後編」では、23時以降にスタートする「深夜ドラマ」を見ていくことにしましょう。こちらもプライムタイムのドラマ同様、5日の『増山超能力師事務所』から続々スタートするなど、例年以上に早い始まりとなっています。お見逃しのないよう。それでは例によって、テレビ東京の深夜ドラマから!


■相変わらずの実験精神、テレビ東京


 プライムタイムの連続ドラマは、有川浩原作ドラマのシリーズ第3弾となる『三匹のおっさん3 ~正義の味方、みたび‼~』(1月20日(金)20時~)のみのテレビ東京ですが、深夜帯は相変わらずカオスです。まずは、今からちょうど2年前、ドラマ史上に残る……というか、ドラマなのかドキュメンタリーなのか、結局最後までよくわからなかった怪作『山田孝之の東京都北区赤羽』(15年)を世に送り出した山下敦弘&松江哲明監督コンビが、再び山田孝之を主演に擁して送り出す『山田孝之のカンヌ映画祭』(1月6日(金)24時52分~)。山下監督を呼び出した山田孝之が告げた「(映画の)賞が欲しい」という言葉。しかも、世界最高峰のカンヌ映画祭で賞をとりたい……という唐突な導入から、カンヌで賞をとるべく映画制作を開始した、山田と監督コンビの2016年夏の記録。一応、清野とおるの漫画をベースとしていた『北区赤羽』とは異なり、今回は完全なオリジナル作となるだけに、ますます先行きがわからない。というか、もはや何が何だかわからない、実にスリリングな視聴体験となりそうです。正直言って、楽しみだ!


 かくして、ドラマというフォーマットそのものを揺り動かすテレビ東京の試みは、さらに続きます。テレ東深夜の看板「ドラマ24」枠では、日本のドラマ界・映画界の名脇役(バイプレイヤー)たちがズラリ顔を揃える、その名も『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(1月13日(金)24時12分~)がスタート。五十音順に、遠藤憲一、大杉連、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研……中国の動画配信サイトから、大型ドラマのオファーを受けた6人が、「役作りで絆を深めるために、3ヶ月間シェアハウスで共同生活を送ってほしい」という監督からの要請を受け、それを実践するというストーリー。それぞれ本人役として登場する、このおっさん版“テラスハウス”とも言うべきドラマ(?)の脚本・監督を担当するのは、映画『アズミ・ハルコは行方不明』の松居大吾。さらに演出陣には、映画『俳優 亀岡拓次』の横浜聡子の名前も……一体どんな仕上がりになるのやら。注目です!


 そんな、いつにも増して超変化球が並ぶテレ東深夜にあって、実は本命というか王道と言うべき一作となりそうなのが、「土曜ドラマ24」枠で放送される『銀と金』(1月7日(土)24時20分~)です。『カイジ』、『アカギ』など、ギャンブル漫画の第一人者として知られる福本伸行の人気漫画を、連ドラ初主演(!)となる池松壮亮を主役に送り出す渾身の一作。池松演じる主人公が出会い、欲望渦巻く闇社会へと足を踏み入れるきっかけとなる人物役に、リリー・フランキーを起用。こちらは、原作者である福本の指名によるものなのだとか。さらに、本作の監督を担当するのは、映画『さよならみどりちゃん』の古厩智之と、映画『サマーソング』の中前勇児。よくよく眺めてみれば、今回のテレ東深夜は、日本映画を支える中堅・若手が関係したものばかり。その意味で、映画ファンにとっても見逃せないラインナップとなっています。


■深夜ならではのオリジナル作品


 さて、ここからは各局織り交ぜながら、系統別に深夜ドラマを見ていくことにしましょう。まずは、オリジナル作品から。つい先日、エヴァ初号機に扮した(?)剛力彩芽の雄姿が発表され、早くもネット民をざわつかせている『レンタルの恋』(1月18日(水)24時10分~/TBSほか)。剛力演じるヒロインは、彼女のレンタルサービスを行う会社の人気ナンバー1“レンタルの彼女”なのだとか。依頼者の“理想の彼女”を完璧に演じる彼女にぞっこんとなる大学生役を太賀が、そんな彼の幼馴染みであり、ほのかな恋心を寄せる女子役を岸井ゆきのが演じるなど、若手演技派俳優たちと剛力彩芽の共演は、果たしてどんな結果を生むのでしょう。剛力彩芽のコスプレ七変化ともども注目の一本です。


 さらに、オリジナル作と言えば、1月6日(金)と13日(金)の2週にわたってスペシャル版がオンエアされる2016年版『不機嫌な果実』の制作スタッフが、テレビはもちろん映画や舞台などマルチな活躍を展開している放送作家・鈴木おさむを脚本に迎えて送り出す『奪い愛、冬』(1月20日(金)23時15分~/テレビ朝日系)も気になります。最近、連ドラでの活躍が目覚ましい倉科カナと三浦翔平の2人を中心に、倉科演じる主人公の元恋人役を、『逃げ恥』(16年/TBS)で一気に知名度を上げた大谷亮平が、その妻役を水野美紀が演じるなど、「ドロドロしているけどキュンとする、奪い合いの“ドロキュン劇場”」が、深夜を舞台に繰り広げられる模様です。


 そして、同じくテレビ朝日では、新しく設立された深夜枠で、AKB48メンバーが多数出演するドラマ『豆腐プロレス』(1月21日(土)24時35分~)が、2クール連続ドラマとしてスタートします。これまで、AKB48という群雄割拠するアイドルの姿を、『マジすか学園』シリーズでは“ヤンキー”に、『キャバすか学園』では“キャバクラ嬢”になぞらえてみせた秋元康が、今回そのモチーフに選んだのは、何と“女子プロレス”。豆腐店とプロレス道場を営む父に育てられた女子高生(宮脇咲良)が、自分の道場から世界チャンピオンを輩出したいという父の夢を叶えるべく、女子プロレスの世界に足を踏み入れる……という物語。プロレスとの縁も深いテレビ朝日で、リアルアイドルたちがガチプロレスに挑みます。


■オルタナティブな漫画原作ドラマ


 最後に紹介するのは、深夜でも定番となりつつある漫画原作のドラマです。まずは、映画『ちはやふる』、『君の名は。』、そして念願の歌手デビューによって、昨年一躍注目を浴びるようになった上白石萌音が、連ドラ初主演を果たす『ホクサイと飯さえあれば』(1月24日(火)25時28分~/TBSほか)。こちらは、鈴木小波の“インドアご馳走漫画”のドラマ化作品となっています。東京・北千住で一人暮らしを始めた人見知り&妄想癖のある女子大生が、アイディア満載のD.I.Y.レシピで美味しいご飯を作っては食べるという物語。ちなみに、“ホクサイ”とは、彼女が大事にしている、人語を話すぬいぐるみの名前なのだとか。彼女と同じ大学に通う友人役を、近年女優としてのキャリアも着実に重ねている池田エライザが演じることも、個人的には注目の一本です。深夜グルメドラマの草分け、『孤独のグルメ』シリーズの宝来忠昭が監督を務める作品とのことなので、今季の“飯テロ”は、本作で決まりですかね?


 同じく漫画原作でも、もともとツイッターで評判となり、そのアイディアをもとにコミック化、それがこのたびドラマ化されるなど、実にイマドキな経緯で生まれたのが、『ラブホの上野さん』(1月18日(水)26分~/フジテレビ)です。紳士的な態度と論理的なアドバイスが人気のラブホスタッフ・上野さんが、迷える男女に恋愛指南するという本作。主役の上野さんを『実写映画 テニスの王子様』などで人気の本郷奏多が演じることも話題の一本です。共演は、松井愛莉、柾木玲弥、大沢ひかるなど。こちらは、フジのオンデマンド(FOD)で先行配信されるようです。


 一方、ネクスト・ブレイクを狙う2.5次元のイケメンたちが大挙して出演する『男水!』(1月21日(土)24時55分~/日本テレビほか)は、Webマンガサイトで連載中の人気コミックが原作のドラマです。主役の松田凌をはじめ、宮崎秋人、赤澤燈、佐藤永典、小澤廉などが演じる弱小水泳部員たちが、廣瀬智紀演じるコーチとの出会いを通じて変わっていくという競泳青春群像劇。水泳の名門校へと進学した、安西慎太郎演じる主人公と幼馴染みのライバルとの確執も注目の一本です。泳ぐには、まだまだ肌寒い季節ではありますが、5月には同キャストによる舞台版の上演も決定しているとのことなので、2.5次元ファンの方は、そちらも要チェックです!


 ちなみに、同じ日本テレビでは、今クールの深夜唯一の小説原作となるドラマ『増山超能力師事務所』(1月5日(木)23時59分~)が、深夜ドラマの先陣を切ってスタートします。『武士道シックスティーン』、『ストロベリーナイト』、『ジウ』など、映像化作品も多い人気作家・誉田哲也の小説を、前クールの『砂の塔~知りすぎた隣人』(16年/TBS)など、近年俳優としての仕事も積極的に行っている田中直樹(ココリコ)主演でドラマ化した本作。その内容は、超能力が社会的に認知された世界を舞台に、一級超能力師である主人公が、浅香航大、中村ゆり、柄本時生らが演じる二級超能力師たちを集めて探偵事務所を開き、さまざまな依頼に応えていく、日常系SF作品(?)となるようです。


 以上、前編・後編合わせて、合計23本のドラマを一挙ご紹介させていただきました。さあ、あなたはどのドラマを観る? いずれにせよ、新しい一年の始まりです! 今年もよろしくお願いいたします。(麦倉正樹)