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昭和の宴会、「裸踊り」で人間関係が深化? 今の日本で「披露」することの法的問題

2017年01月04日 10:52  弁護士ドットコム

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「パワハラ時代こそ若者は宴会芸を使いこなせ」。こんなタイトルの記事がネットで話題になった。「島耕作」シリーズなどを手がけた漫画家の弘兼憲史さんの主張だ。


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ニュースポストセブンの記事によると、弘兼さんは、いまの上司が「裸になって踊れ」と部下に命令することはパワハラだと批判されることに理解を示しつつも、宴会芸による「人間関係の深化」を評価しているという。


「もちろんパワハラは避けるべきだけど、『郷にいっては郷に従え』という考え方もある。上司の無理難題を上手くこなすことも組織で働くには大切なことです」と語っており、「課長島耕作」でも、宴会で取引先に裸踊りを強要され、怒った島の代わりに、上司の中沢部長が裸踊りを披露したシーンが描かれているという。


ただ、やはり昭和のころならともかく、現在の日本で、宴会で裸踊りを披露することには多くの問題があるのではないだろうか。裸踊りは現在の日本でも通用するのだろうか。大部博之弁護士に聞いた。


●「公然わいせつ罪」など様々な法的問題がある

「一口に『裸踊り』といっても、どの程度の裸なのかによって評価が変わります。


仮に、宴会の場で局部を露出してしまえば、個室でかつ少人数という事情でもない限り、裸踊りを実行した部下、またそれを命じた上司も公然わいせつ罪に問われる可能性が出てきます。


また、この行為は、当然、セクハラに該当し、実行者および命令した上司は懲戒処分の対象になります。また、その場にいあわせた社員は、強い嫌悪感を感じたとして、慰謝料を請求できる可能性は高いです(ただし、面白がって囃し立てていたような社員は除かれます)」


大部弁護士はこのように述べる。上司が部下に強要した場合は、どんな法的問題があるのか。


「命令された部下が拒絶していたにもかかわらず、これを強要したのだとすれば、部下に対するパワハラに該当するのは当然のこと、上司には刑法上、強要罪が成立することにもなります。民事でも、部下は、上司に対して、慰謝料を請求できるでしょう」


●「上半身のみ裸」の場合は?

では、裸踊りといっても、上半身のみ裸の場合はどうなのか。


「その場合、さすがに刑事上の問題までには至らないでしょう。


しかし、宴会の席という場においては、上半身のみ裸の裸踊りであっても、不快感を感じる女性または男性がいることは否定できません。このような行為を部下に命じた上司は、会社の懲戒処分を受けることは免れないでしょう。強要された部下については、強く拒絶していたというような事情がある場合には、免責される余地はあります。


民事上の慰謝料については、部下が強く拒絶したにもかかわらず、強要されたような場合には、強要された部下から、命令した上司に対する請求が認められる余地は十分あると思います。ただ、不快感を感じたという周りの社員からの慰謝料請求が認められる可能性は低いでしょう」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
大部 博之(おおべ・ひろゆき)弁護士
2006年弁護士登録。東京大学法学部卒。成城大学法学部講師。企業法務全般から事業再生、起業支援まで広く扱う。
事務所名:小笠原六川国際総合法律事務所
事務所URL:http://www.ogaso.com/