マルク・マルケスは1993年2月17日、スペインのカタルニア州にあるセルベラという街に生まれた。バイク好きだった父のフリアは、幼いころからマルクをバイクに乗せ、6歳のときにはエンデューロとモトクロスのレースに初参戦している。
オフロードのレースでは、8歳でカタルニア選手権ジュニアクラスのチャンピオンを獲得したが、2002年にはロードレースへと転向した。
2003年にカタルニア州のローカルレースの50ccクラスでチャンピオンを獲得。2004年にはカタルニア選手権125クラス参戦初年度にランキング2位を獲得すると、2005年、2006年と2年連続でチャンピオンとなる。
2007年には14歳で世界グランプリへの登竜門と呼ばれるスペイン選手権125クラスに参戦、ランキング8位を獲得する。
そして、2008年には世界GP125ccクラスにデビューを果たす。1年目は第8戦イギリスGPでは3位表彰台を獲得するなど、ランキング13位。2009年にはKTMのワークスチームに起用され、ランキング8位。そして、125クラス3年目となる2010年にデルビのワークスマシンを得ると、17戦10勝、表彰台12回、ポールポジション12回の好成績で世界グランプリ初タイトルを獲得する。
2011年にはMoto2クラスにステップアップ。1年目はランキング2位に終わったが、続く2012年には17戦9勝、14回表彰台に立ち、Moto2クラスのチャンピオンを獲得した。
そして、2013年には最高峰クラスのMotoGPクラスにステップアップ。レプソル・ホンダから参戦し、開幕戦カタールGPで史上最年少の最高峰(500cc/MotoGP)クラスでの表彰台(3位)登壇を果たす。
第2戦アメリカズGPでは史上最年少のポールポジションと史上最年少優勝記録(20歳と63日)を達成。年間6勝を含む16度の表彰台を獲得して、ケニー・ロバーツ以来となる最高峰クラス参戦1年目でタイトル獲得に成功。フレディ・スペンサーが1983年に樹立した史上最年少記録(21歳と258日)を更新する20歳266日で最高峰クラスのタイトルを獲得となる新記録を樹立した。
最高峰クラス2年目となる2014年には、開幕戦カタールから第6戦イタリアまで6戦連続でポール・トウ・ウイン。第10戦インディアナポリスまで開幕から10連勝を達成するなど、数々の新記録を樹立し、圧倒的な強さでMotoGPクラス連覇を達成した。
続く2015年はマルケスにとって厳しいシーズンとなった。6回のノーポイントレースでタイトル争いから脱落し、ランキング3位と初めてMotoGPのタイトルを失った。それ以上にアルゼンチンGP、オランダGP、そして、マレーシアGPで起こったバレンティーノ・ロッシとの接触を巡る確執もあり、マルケスにとっては試練のシーズンとなった。
しかし、2016年、マルケスはタイトル奪還を決意すると、勝てるレースは勝ちに行き、そうではないレースでは確実にポイントを取りに行くスタイルを取り、その戦略は見事に成功。優勝5回、2位4回は前年と同数ながら、3位2回、タイトルを確定した日本GPまでの全戦でポイントを獲得してMotoGPクラス通算3回目となる王座を獲得した。
「去年はタイトルを逃して、大きな代償を払った。多くのことを学んだけど、シーズンを通じて難しかった。今年もシーズンの始まりは僕のキャリアで最も困難だったと思う。しかし、2勝した後ポイントリーダーになり、2位、または3位でフィニッシュすることが許された。難しい年だったが、最高の年になったと思う」とマルケス。