トップへ

ジャニーズ2016年は怒涛の一年だった……佐藤結衣 × 高橋梓が振り返る

2016年12月30日 17:21  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンドロゴ

 SMAPの解散、KAT-TUN充電期間など、衝撃的な話題から幕を開けた2016年のジャニーズ。一年を振り返ると、中堅~若手と呼ばれるグループたちがあらゆるシーンで活躍し、存在感を発揮した一年でもあった。今回リアルサウンドでは、ジャニーズグループに関連したコラムを数多く担当している芸能ライターの佐藤結衣氏と高橋梓氏による振り返り対談を行い、ジャニーズ全体の傾向と来年への期待について語り合ってもらった。(編集部)


(関連:KAT-TUN 上田竜也が語った熱い思い “充電期間中”も育まれるグループの絆


■前向きな活動見せるKAT-TUN、NEWSのメンバー


佐藤:思い起こせば、3月にKAT-TUNを脱退した田口淳之介さんが、昨年末に脱退を発表したあたりから怒涛の年が始まっていたんですよね。


高橋:充電期間前最後の東京ドーム公演で初めてKAT-TUNのライブに行きました。Jr.もバックダンサーもバンドも一切なし、3人だけで見事にやりきっていました。


佐藤:KAT-TUNの新体制には前に進むという強い意志が感じられました。田口さんもやりたいことをやるために卒業するという印象が強かったですし。『KAT-TUNの世界一タメになる旅!』(TBS系)でしっかり別れを惜しみ、4人の絡みも存分に楽しめた。残念ではあるものの清々しい卒業だったと思います。


高橋:メンバーも最後のほうはラジオなどで自分たちの状況を完全にネタにしてましたよね。ドームライブのグッズ「充電器間」、思わず買いましたもん(笑)。


佐藤:「充電期間」の自虐ネタグッズも話題になりましたね(笑)。でも彼らにとって充電期間という選択は本当に良かったと思います。特に今年は上田竜也さんのバラエティ出演での活躍が目立ちました。


高橋:それぞれのキャラクターがさらに確立されましたよね。これまでにないグループのかたちで始動する日が今から楽しみです。


佐藤:これまで活動休止して再始動したグループってジャニーズでありましたっけ。


高橋:活動休止とは謳わずに休んでいる、というかたちはあったかもしれない。


佐藤:そう考えると、このスタイル自体が新たな挑戦だった。だからこそSMAPもそれでいいじゃないかという意見もありましたが……。SMAPは本当に残念ではありますが、もう現実を受け入れるしかないですね。


高橋:偉大なグループを失うことで、後輩グループたちの心境にも変化があると思います。特に中堅グループの今後の活躍が気になるところですが、なかでもNEWSは気になる存在。今かなりグループとしていいバランスだと思います。グループでの初レギュラー番組『変ラボ』(日本テレビ系)が始まったのが今年の4月。「Aの嵐!」(嵐の冠バラエティ番組『Dの嵐!』内おバカ実験企画コーナー)的な感じで面白かったです。


佐藤:「Aの嵐!」懐かしい! 『変ラボ』はどんなに無理な企画でも最終的にちゃんとやってのける手越祐也さんの安定感がよかったです。グループ内の役割分担がはっきりしたから団体戦に強くなったというか。NEWSはグループの危機を数々乗り越えてきた苦労がいよいよ結実してきましたよね。


高橋:小山慶一郎さんがラジオで、いつも帰ってお風呂に入る時に「あそこもう1個フォロー入れられたな」と反省すると言っていて。自分の立ち位置を強めていこうという意識の高さが素晴らしいなと。


佐藤:NEWSは自分たちのありのままの姿を見せているところにも好感がもてます。ここまで見守ってきてくれたファンに対しては、むしろそういうところを見せることはプラスだと思いますし。


高橋:私の周りのNEWS担曰く、グループに降りかかってくる試練にメンバーが立ち向かっている姿勢があるからこそ応援したい、やめられないと言ってました。


佐藤:NEWSは本当にドラマチックなんですよ。アイドルなのにいち社会人的な苦悩を味わっているというか。そして、あらゆる問題を明るく乗り越えているのがいい。ちやほやされるだけではなく、ガッツや根性が活動から見えるから、男性人気も高まっているんでしょうね。あと、Sexy Zoneも安定してきましたね。


高橋:Sexy Zoneは松島聡さんが今年は来たイメージありません? 色んな先輩に後輩力を発揮し出していて。


佐藤:元々松島さんが憧れていたHey! Say! JUMPの知念侑李さんに近い感じですよね。ジャニーズファンと同じようなファン目線でジャニーズにいるという、そういう共感性が高いキャラクターは今後も続いていくかもしれないです。『櫻井翔のジャニーズ軍VS有吉弘行の芸人軍 究極バトル"ゼウス"』 (TBS系)に出ていた時もメンバーを応援する松島さんを出演者たちが愛でているのが印象的でした。


■Hey! Say! JUMPの活躍、TOKIOの安定感


高橋:ジャニーズ全体的に俳優業に積極的に取り組んでいた印象もあります。目立ってこの人の演技がよかった、とかありますか?


佐藤:私はHey! Say! JUMPの中島裕翔さんが主演だった『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(フジテレビ系)に出ていたジャニーズWEST桐山照史さんの関東弁の演技がムズキュンでした(笑)。桐山さんってすごい演技が上手なんですけど、この時の役どころみたいなものが最も活きるんだなと。彼は作品に溶け込むことができるんですよね。ある意味ジャニーズの人っぽくないというか。


高橋:ジャニーズっぽくないといえば、ジャニーズタレントのドラマ出演って“ジャニーズフィルター”がかかって見られてしまう時がある。演技力がないわけではないのに、正当な評価が得られないことがあります。山田涼介さん主演の『カインとアベル』(フジテレビ系)もそういう結果だったのかなと思いました。


佐藤:彼らに対する世間の期待が大きいということもありますし、そもそも評価するつもりで見ていない人も多いんだろうなという気はちょっとします。


高橋:Hey! Say! JUMPの中島裕翔さんも『半沢直樹』(TBS系)に出ていた時はすごい評価されてたじゃないですか。なのに、主演で『HOPE』に出演したらいきなり風向きが変わってしまって。


佐藤:そういうのは本当に悲しい。「ジャニーズだから出られるんでしょ」みたいな扱いはもどかしいです。中島さんももちろん素晴らしい演技力を持っていますから。時期的にスキャンダルが関係していたのかもしれませんね。そういった意味でもHey! Say! JUMPは今年は試練の年でした。


高橋:伊野尾慧さんが出演したドラマ『そして、誰もいなくなった』(日本テレビ系)はかなり評判がよかった。でもその矢先にいろいろあったので……伊野尾! と心の中で叫びました。


佐藤:彼ももっと“適当”なキャラ押しでそれこそ手越さんみたいに自分でネタにするくらい飄々とした感じでもよかったのかもしれないですけどね。一方、Hey! Say! JUMPの有岡大貴さんと八乙女光さんは『ヒルナンデス』(日本テレビ系)でバラエティ班としてコツコツ経験を積んでいます。「アリ岡ナシ岡」も定着してきました。


高橋:うちの母も有岡推しです(笑)。Hey! Say! JUMPの10月の横浜アリーナ公演に行ったんですけど、ファンの年齢層が広がっていて驚きました。知名度は確実に上がっているし、グループとして前進しているんだなと感じましたね。


佐藤:Hey! Say! JUMPに関してはコツコツと上り詰めていくというか、1発でブレイクという感じではないのかも。だからこそ長い活躍が期待できるのかもしれないですし、「来年こそは!」と夢見ることができるのも魅力なのかもしれないですね。あと、個人的にはTOKIOの活躍も見ていて楽しかったです。TOKIOはいいですよ(笑)。


高橋:またジャニーズグループの新たなスタイルがひとつ確立されましたよね(笑)。


佐藤:今年『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)のスタッフの方がインタビューを受けていた時に、台本に満ち潮の時間が書かれていて「工事用の工程表みたい」と話題になりました。干潮、満潮、何時に日の入りとか、それで大枠だけスタッフが決めて、あとはメンバーが決めているそうです。アイデアがそのまま番組になっているから楽しいんじゃないですかね。もともとTOKIOはバンドの人たちだから何かを突き詰めることに向いているんでしょう。


高橋:TOKIOは素っぽい感じがいい。さっき話題になったKAT-TUN上田さんもそうですけど、あんまりアイドルアイドルしていない、年相応で飾らないスタイルのメンバーも全体的に増えてきているなと思って。なんでなんですかね。ファンはジャニーズに何を求めているんだろうとたまに思うんです。ザ・アイドルみたいな振る舞いをすると話題になったり、みんな喜ぶじゃないですか。なのに、そういった素っぽさを見せるところになぜシフトしているのか興味があります。


佐藤:そのシフトが起こっている人たちは、アイドルとして一旦山場を作ったTOKIOやKinKi Kidsなどのメンバーで、だからこそ男女問わずの人気者になっていくんだと思います。あくまでジャニーズファンとしては彼らのアイドルらしい姿を見たいはず。でも、それだけだと“作られたものなのでは”という冷ややかな目も生まれてしまうというか。今年は『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)でタッキー&翼の滝沢秀明さんと嵐の櫻井翔さんがJr.時代の関係性について語りあったことが話題になりましたけど、そういった素の感じも含めたアイドルとしてのあり方が今後は求められるのかもしれないです。ではアイドルらしく今を生きるとしたら、と考えるとやっぱり嵐がちょうどいい。リアルだけどリアルすぎない。メンバー同士でメール交換をしているとか、ファンの納得度の高い情報を提供してくれている印象があります。


高橋:嵐以外にも、確かに今年はそういった納得感あるプライベートの話題、ジャニーズの中で仲がいい人とかご飯を食べに行ったエピソードが多かったですよね。


佐藤:ジャニーズ同士の共演も多かったので、その流れで行ったというのも自然ですし。納得するし、ファンとしても安心できる。安心できるリアルな話題なんですよ。


■次世代ジャニーズはどう築かれていく? 来年への期待


高橋:NEWSの加藤シゲアキさんがSexy Zoneの菊池風磨さんと『時をかける少女』(日本テレビ系)で共演していた時、リスナーから「もう連絡先交換しましたか?」「ご飯行きましたか?」という質問が来ていて「それはさ、後輩から来いよ」と言っていたのをふと思い出しました(笑)。


佐藤:出ました! 加藤さんが人見知りしている! と言ったらまた怒られてしまいそうですが(笑)。


高橋:その流れで、「俺らも櫻井くんとかに自分から行ったじゃん」「だからお前らが俺らに来いよ」みたいなことも言っていて。先輩からは求められているけど、後輩は自分たちからできていないのかもしれないですね。


佐藤:後輩たちはやっぱり平成生まれっぽいというか。ガツガツ行かないんでしょうね、遠慮もあったりして。


高橋:同じような世代のグループも詰まってますからね。それこそ昔はジャニーズでデビューしたら順番にブレイクしていくという構図だったけど、今はみんな同じくらいの立ち位置にいるイメージですし、後出グループに抜かされるということも起こります。音楽番組が減っていて、ランキングで1位を取ることのインパクトみたいなものが薄れてきていることも関係しているんですかね。


佐藤:SMAPが鳴かず飛ばずだった時代もそんな感じでしたよね。でもSMAPは音楽番組が減っていって、その中でバラエティをやるアイドルとしての地位を確立した。でも今は逆で、バラエティをやって当たり前みたいな中で抜きん出る人たちがいないという問題はあります。だから、今またバラエティに出ないグループがいてもいいなとも思います。


高橋:バラエティということでいうと、今年また華開いたのは関ジャニ∞でしょうか。『関ジャニ∞クロニクル』(フジテレビ系)とか『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)とかめちゃめちゃ面白いですもん。Kis-My-Ft2も『キスマイBUSAIKU!?』(フジテレビ系)とか本当に面白いんです。Kis-My-Ft2といえば、藤ヶ谷太輔さんと玉森裕太さんが舞台『ジャニーズ・オールスターズ・アイランド』に出演することが決まったのが今年はとても意外でした。


佐藤:かなり意外でしたね。藤ヶ谷さんはテレビや映画で活動していくイメージの人だったので、どういう意図なんだろうというのは少し感じてしまいました。


高橋:しかも全員が主役と言われている舞台ですからね。


佐藤:特に舞台ではジャニーズ的な売り出し方というか、推しのメンバーがいて、その人をどれだけ認知させるかというかたちを取っていたのに、次の舞台ではがらりと方向転換していますよね。次世代の育成よりもまず先に事務所内の立て直しという意向が強いのかもしれないです。


高橋:SMAPがいなくなってしまうことで、嵐が事務所的にもよりステップアップしていくことになってくると思うんですけど、そうなったとき嵐的なポジションにステップアップするのはどのグループなんでしょうね。個人的には今年の『嵐のワクワク学校』にも出演していたジャニーズWESTなのかなと。最近この2組の組み合わせが増えているような気がしますし。


佐藤:可能性はありますね。ジャニーズWESTは家族が安心して楽しめるというか。もともとコントとかも上手ですし。演技もみなさん上手で、親しみやすさがあって、体を張ることも厭わない。ジャニーズWEST、来年はさらに全国区へ認知度をぜひ広げていただきたい。2016年はジャニーズファンにとって本当に厄年のような一年だったので、気持ちを新たに来年もジャニーズ文化を楽しみたいところです。


高橋:来年こそは平和に楽しめるといいのですが……。


佐藤:才能のある人の才能に触れて、素直に感動したい。そこに不安な気持ちはいりませんからね。V6の長野博さんの結婚を『ベストアーティスト2016』(日本テレビ系)でみんなで胴上げしてお祝いした時みたいな、ああいうほっこりした姿がたくさん見られることを期待したいです。


※記事初出時、情報に一部誤りがございました。お詫びして訂正させていただきます。