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ベビースター「ベイちゃん・ビーちゃん」引退に別れ惜しむ声…二次創作は自由になる?

2016年12月30日 11:22  弁護士ドットコム

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菓子メーカー・おやつカンパニーのスナック菓子「ベビースターラーメン」の商品キャラクター「ベイちゃん」と「ビーちゃん」が2016年内で引退することがわかり、ファンから別れを惜しむ声があがっている。


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ベビースターラーメン(発売当初は「ベビーラーメン」)は1959年から半世紀以上愛されている同社の看板商品。初代はオレンジ色に女の子のイラストが描かれたパッケージだった。ベイちゃんが登場したのは1988年で、ビーちゃんは2000年。二人あわせて30年近く、「カレー」「みそ」など、ベビースターの味に合わせてコスチュームを替え、パッケージを飾った。


ネット上では、引退を惜しむ声が多くあがっているが、「キャラクターが引退する」というのはどういうことなのか。これまではベイちゃんやビーちゃんのグッズなどを作ったら、著作権侵害ということになるのだろうが、これからは自由になるということなのか。著作権の問題に詳しい柿沼太一弁護士に聞いた。


●キャラクターの引退と著作権保護は別の問題

「企業が使用の終了を発表したキャラクターについても、そのキャラクターに関する著作権は、保護期間が満了するまでは存続します。キャラクターを利用した商品を販売しているかどうかには影響を受けません」


柿沼弁護士はこのように指摘する。どういうことなのだろうか。


「法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、原則として著作物の公表後50年間は存続します(著作権法53条1項)。


ですから、今回のケースでも2人のキャラクターに関する著作権の保護期間は、まだ満了していないことになります。


したがって、キャラクターに関する著作権はまだおやつカンパニーに帰属していることになりますので、二次創作等を自由に行うことはできません」


キャラクターが「引退」するということと、著作権の保護とは、別の問題だというわけだ。


「『キャラクターが引退する』という発表に、著作権の放棄、あるいは『今後はそのキャラクターを自由に利用してもらっていいですよ』という法人としての意思が含まれているとすれば、自由利用も可能かもしれませんが、通常はそこまでは読み取れないと思います。


もし、おやつカンパニーに『キャラクターを一定の節度のもと自由に使ってもらってよい』という意向があるのであれば、今後2人のキャラクターについて、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を付与すると、そのような利用が盛り上がるのではないかと思います。


CCライセンスというのは、著作権者が『この条件を守れば私の作品を自由に利用していいですよ』という意思表示をするための仕組みです。


CCライセンスを利用することで、著作者は、著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどをすることができます。


ネット上では、引退を惜しむ声が相当多数にのぼっているようですので、ぜひ検討をお願いしたいと思います」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
柿沼 太一(かきぬま・たいち)弁護士
兵庫県弁護士会所属、映像制作会社や出版社、アーティストからの著作権に関する依頼案件が多い。またIT系・技術系ベンチャー企業からの相談・依頼案件も近時とみに増加している。事務所サイトでは著作権やベンチャー系企業に関する記事を多数掲載。
事務所名:STORIA法律事務所
事務所URL:http://storialaw.jp/