マーベリック・ビニャーレスのヤマハへの移籍など、2017年シーズンに向けたMotoGPライダーの動きは、2016年ではなく2015年のマニュファクチャラーの状況がもとになっていたと、スズキ代表のダビデ・ブリビオは感じている。
4月にホルヘ・ロレンソが2017年と18年シーズンにドゥカティへ移籍することを決めたことが、他のライダーの相次ぐ移籍の動きを促し、6月までに6つのマニュファクチャラーチームすべてで来シーズンの2名のライダーが確定した。ホンダだけはライダーの変更はなかった。
ビニャーレスはMotoGP復帰3年目を迎えるスズキに残留するか、ヤマハでロレンソの後任になるか、4月と5月にその選択が大きく注目された。
ビニャーレスはヤマハへの移籍を選んだ。彼は5月にル・マンで自身シーズン初の表彰台を獲得。シルバーストンでは自身初の優勝を飾り、シーズン後半の2つのレースで表彰台を獲得した。
ブリビオはビニャーレスがシーズン後半で移籍の決断をしていたら、彼にとってより複雑な状況となり、後のスズキの上昇を考えると、違う結論を出していた可能性もあったのではないかと考えている。
「我々は少々特別なケースだった。我々は新しいチームで、ライダーたちの移籍の動きが顕著ななか、ヤマハにひとつ空きがあった」とブリビオは述べた。
「マーベリックがそのチャンスを掴むことを決めたのは理解できる」
「新しいマシンのポテンシャルを示すには少し早く、苦労していた。我々はプロジェクトを始めてたった2年目だったんだ」
「2016年のライダー市場はあまりに早くから動きが始まってしまい、みんな2015年のパフォーマンスをもとに決断を下さなければならなかったと思う」
「2016年シーズンが始まったばかりだったのだから、その時にある情報で判断するしかない」
「たとえば5月頃までに移籍を考えていたとすると、他はみんな決まってしまっており、我々はランキング5位という有様だった」
スズキは何としてもビニャーレスをチームに引き止めたかったが、最終的にはオプションを行使して翻意を促すことはしなかった。
ビニャーレスが移籍を決める前、スズキは彼とアレイシ・エスパルガロのコンビを計画していたが、結局ロレンソの加入でドゥカティから放出されたアンドレア・イアンノーネをビニャーレスの後任とし、Moto2ライダーのアレックス・リンスを昇格させた。
「マーベリックがスズキを去ることを決め、我々は判断を下さなければならなかった。新しい挑戦を選んだのだ」
「我々は挑戦を好んでいると言える。MotoGPで最強のチームになることへの挑戦のためにクリエイティブにならなければならない」
「だから我々は新しいスタートを切ることにした。イアンノーネを獲得するという我々にとって素晴らしいチャンスにも恵まれた。彼は非常に良いライダーだし、もし我々が良いパッケージを与えることができれば、彼には優勝する能力がある」
「だからこのチャンスを掴んだ。それにリンスとのチャンスもある」
「我々は彼をとても才能のある若いライダーだと捉えていて、若いライダーを育て上げることができるかもしれないと考えた」
「我々はこのふたりのライダーとパッケージで2017年シーズンを迎えるのを楽しみにしている。イアンノーネがどう走るか、リンスがMotoGPでどれだけ成長できるか見るのはとてもエキサイティングだ」