12月25日放送の「林先生が驚く初耳学傑作選」(TBS)で、フルーツについての面白い特集が組まれていた。元東大教員でフルーツ研究家の中野瑞樹氏が登壇するワンコーナーでのやりとりだ。
その中で、日本人のフルーツ消費量が触れられていた。実は、一人当たりの摂取量が先進国では最下位だという。1日あたりの平均的なフルーツ消費量は107.6グラムなのだそうで、確かに多くはない。(文:松本ミゾレ)
高齢者の方が金銭的にも時間的にも余裕があるだけでは
その摂取量の内訳を見てみると、高齢者は1日144.8グラムとなっているのに対し、若者世代では56.5グラム。30代男性に限っては38.5グラムという数値になっていた。
ではなぜ若者世代はフルーツを食べないのか。番組では「フルーツは糖分が多いので、食べ過ぎると太る原因に思われている」と紹介されていた。
サラッとそう紹介されているけど、僕などは「え? そんなこと思ってないよ」と感じてしまう。実際にフルーツを食べない理由なんて、いちいち糖分云々を加味しなくなって分かりきっている。日持ちしないフルーツを買うほどのお金と時間の余裕が、若者世代にはそんなに多くないからだ。
日本では高齢者の方がフルーツをより多く摂取しているということだが、それは高齢者世代が若者よりも金銭的にも時間的にも余裕のある生活をしているから。たったそれだけの理由ではないだろうか。
僕はフルーツの摂取量が際立って少ないとされる30代男性の区分に入るが、確かにフルーツは滅多に食べない。しかしそれは糖分を気にしているから食べないのではなく、単純にフルーツを買うお金の余裕があったら、もっと必要とされる最低限の食料を購入する分に回したいからだ。
大体、30代男性が本当に糖分を気にしてフルーツを買い控えているのなら、もっと体形に気を遣っていそうな20代の女性の方が、よりフルーツの消費を控えているはずだろう。
「所得の低下が最初に向かうのは食生活なので、まぁそうだよな」
この番組を観た人々の中には、「糖分が問題なんじゃなくて、摂取量が低いのはもっと別の問題があるのでは?」と考える方も多かったようだ。ツイッターでも、いろんな意見が寄せられている。いくつかご紹介していきたい。
「原因は『貧しさ』なんじゃないかな? 主食でもなく日持ちもしないフルーツをわざわざ買うのって余裕無いとできなくない?」
「貧困・家庭人数減少に伴う大型果物の消費困難・他のビタミン補給源の存在などいろいろ原因は考えられるけど、糖分敬遠だけは絶対に違うと思うぞ」
「所得の低下が最初に向かうのは食生活なので、まぁそうだよな」
貧困世帯にしてみれば、フルーツは高い。いや、むしろ中流家庭であってもバナナとかならともかく、ちょっと高い桃やぶどうなんかは人からもらいでもしない限りあまり食べないような気がする。そもそもフルーツって、ぜいたく品というイメージを持っている若者も多いし。
いたずらに摂取量が低いことを問題視するだけして、「では何故食べないのか」という部分にまでしっかりと目を向けていないことは問題ではないだろうか。というか、まさかフルーツの話題一つで、ここまで考え込んでしまうような30代のおっさんになるなんて。悲しい。
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