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WEC:「アウディ撤退は“スピードバンプ”のようなものにすぎない」とマクニッシュ

2016年12月26日 16:51  AUTOSPORT web

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アウディのWEC撤退で、2017年のLMP1-Hはポルシェとトヨタの一騎討ちとなる
ル・マン24時間耐久レースを3度制したアラン・マクニッシュは、アウディのFIA世界耐久選手権(WEC)撤退は、シリーズにとって“スピードバンプ”のようなものにすぎないと述べた。

 マクニッシュはアウディのWECプログラムに長期に渡り参画し、2013年にはル・マンでの優勝に加えてWECチャンピオンに輝いた。13年末に引退した後も、顧問やアンバサダーとしてアウディスポーツに留まっている。

 アウディがLMP1での活動を終了したことで、17年のLMP1-Hは13年シーズン以来に2メーカーによる一騎討ちが展開される。

 しかし、マクニッシュはアウディ撤退がシリーズに決定的な打撃を与えるとは考えていないとコメント。「アウディはシリーズの中心となって耐久レースを18年間支えてきたが、いつかは終えなければならない時が来るものだ」と語った。

「(シリーズにとって)失うには大きすぎるブランドであることは確かだ。しかし多くの人が、ふたつのワークスチームで争われるLMP1では世界選手権とル・マンが成り立たないだろうと発言していることは理解に苦しむ」

「何年もの間、ル・マンはアウディとプジョーの2チームだけの世界だった。それでも、我々は最高の時代と最高のレースを作り上げたんだ」

「2012年シーズンのWECエントリーを振り返ってみれば、プジョーがエントリーを取りやめたあと、すぐにトヨタが参加を表明した」

「おそらくトヨタには準備が整っていない面もあっただろうが、それでも彼らはやり遂げ、選手権はふたたび素晴らしいものになった」

「アウディを失うことは、WECとル・マンにとって“スピードバンプ”(クルマを減速させるための突起物)に過ぎず、決して壁や行き止まりではない。特にル・マンはもっと暗い時代を生き抜いてきたのだから」

 マクニッシュはまた、LMP1のテクニカルレギュレーション改訂が2019年まで凍結されたことも、シリーズの競争力を維持する助けになるだろうとつけ加えた。

 WECのLMP1-Hでは2018年から新たに10メガジュールのハイブリッドを設け、第3のエネルギー回生システムの使用を認めるといった新規定が導入される予定だったが、11月30日の世界モータースポーツ評議会(WMSC)で2020年までの導入延期が決定された。

 この凍結は、2016年限りでシリーズを撤退することを発表したアウディに代わるマニュファクチャラーが参戦しやすくなること、シリーズに残るトヨタ、ポルシェの開発のために経費削減を狙ったものだ。

「レギュレーション変更の凍結は競技の助けになる」とマクニッシュ。

「ハイブリッドシステムの大幅な変更は、マニュファクチャラーにとって時間と費用の両面で膨大な負担がかかる」

「レギュレーション変更を先延ばしすることで(2017年シーズンに向けて)追加の開発が可能になる。来季、トヨタとポルシェは信じられないほど僅差の戦いを繰り広げるだろう」

「どちらのチームにも引けない戦いがある。ポルシェは17年もシリーズを制圧したいと考えているだろうし、トヨタはなんとしてル・マンで勝利をもぎ取ろうとするだろう。2016年は残り3分で優勝を逃してしまったのだから、なおさらだ」