トップへ

AKB48の“紅白”は大晦日だけじゃない 『AKB紅白』における数々の挑戦

2016年12月26日 16:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)AKS。

 最近、AKB48の“紅白”といえば、もっぱら12月31日に放送される『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)での選抜メンバー投票ばかりが注目されている。だが、AKB48にとっての“紅白”はもう一つある。12月15日にTOKYO DOME CITY HALLで開催された『AKB48紅白対抗歌合戦』は、今年で6回目を迎える年末恒例のお祭りだ。


 同イベントはAKB48グループから総勢140名が参加し、柏木由紀率いる紅組と、宮脇咲良率いる白組に分かれ、今年も熱戦が繰り広げられた。まずは16期研究生19人によるオープニング「ファーストラビット」からイベントがスタートし、そこから3時間以上にわたって会場はヒートアップ。当日の模様は全国の映画館でもライブビューイングが行なわれるなど、多くの人がこの祭りを楽しんでいた。


<宮脇咲良が「中国雑技団かシルクドソレイユ」と呼ぶパフォーマンス>


 トップバッターは柏木と宮脇による、ともに鹿児島出身のキャプテン対決。紅組は柏木が「夢でKiss me」を熱唱し、白組の宮脇は現在放送中のドラマ『キャバすか学園』(日本テレビ系)の世界観を踏襲しながら、審査委員である田中将大投手やレスリングの吉田沙保里選手らを“お客様”としてもてなす「口移しのチョコレート」を熱唱。さらにアイドル好きの田中投手に「マー君は乃木坂46に流れたと思っていたので、来てくれて嬉しい」と話すと、会場から大きな歓声が上がった。


 その後の「Gonna Jump」で、女性アーティストのライブとしては日本初となる、足に装着するトランポリンのような装置・パワーライザーを使用したのは、紅組の本村碧唯(HKT48)、加藤美南(NGT48)、中野郁美(AKB48・チーム8)。ほかにも、兒玉遥(HKT48)らが勇壮な和太鼓の演技を取り入れて披露した「フライングゲット」、白組のNGT48メンバーが、白と黒に分かれた衣装で息の合ったラインダンスを踊った「Only Today」など、ダイナミックなパフォーマンスを披露。他にも、チーム8のメンバーがステージを学校の教室に見立てた「清純タイアド」では、チーム8の合宿でダンスの先生を務めた牧野アンナが登場し、女性教師役としてキレのあるダンスを見せ、「あなたたち人気が出てきて調子に乗ってるでしょ。リハーサルで手抜いてないわよね? 先生、合宿で散々言ったはずよ。結果が出るまで練習しなさい」とアドリブで凄むシーンでは、チーム8のメンバーも本気でタジタジになっていた。


 さらに紅組「呼び捨てファンタジー」での脱出マジック、白組「未来の果実」での早替えマジックによる対決、紅組「She’s gone」での松井珠理奈(SKE48)らによるキレのあるダンス、白組「RIVER」での光と音を出すシューズを身に着けてのタップダンスによる激しいダンス対決などが続いた。これらのパフォーマンスは、白組キャプテンの宮脇が最後に「AKB48は中国雑技団かシルクドソレイユを目指しているのではないかと思った人もいるかもしれませんが、無事に終わって良かったです」とコメントするほど見応えのあるものだった。


 ほかにも、審査員の小嶋陽菜が「白組に投票した決め手になった」と言わしめた島崎遥香、加藤玲奈、小栗有似らが披露する「クリスマスソングメドレー」などキュートなAKB48らしい曲を披露したり、小嶋自身も対決の合間に、審査員の井上ヨシマサによる伴奏で「泣きながら微笑んで」を審査員席で熱唱する一幕も。卒業を前に、最後のAKB紅白で1期生としての貫録を見せつけた。


<渡辺麻友VS指原莉乃のライバル対決、そして……>


 終盤戦では、白組の横山由依が夏のコンサートでのピアノに続き、今回はアコースティックギターでの弾き語りに挑戦。白組メンバー全員が横山を取り囲みながら、「365日の紙飛行機」をソロで披露した。審査員の田中投手も「総監督が新しいことにチャレンジしている姿を見て、皆さん心を打たれたのではないでしょうか」とコメント。それに対して、シンガーソングライターとしてソロライブも行っている紅組の山本彩(NMB48)は、バックバンドを携え、相川七瀬の「夢見る少女じゃいられない」を激しくカバー。山本は演奏後「ゆいはん(横山)がギター1本で攻めてきたので、私は圧で勝負しようと思った」と語っていた。


 歌合戦のトリは、総選挙で何度も1位を争ってきた渡辺麻友と指原莉乃の直接対決。渡辺は、ミュージカル俳優の井上芳雄と映画『アラジン』の「A WHOLE NEW WORLD」を歌唱。2人の歌声、そしてハーモニーを響かせると、井上は「いつでもミュージカル業界に来てほしい」と渡辺にラブコールを送った。一方の指原は「赤いピンヒールとプロフェッサー」を、紅組メンバーとともに披露。その激しいパフォーマンスは、直前まで同じ事務所の大先輩であるダチョウ倶楽部とコミカルなやりとりを繰り広げていたとは思えないものだった。


 審査タイム終了後には、10月に神戸で行われたじゃんけん大会の優勝者である田名部生来らで結成されたユニット「じゃんけん民」によるシングル表題曲「逆さ坂」、そして同シングルに収録されている「奇跡のドア」が初披露され、会場を盛り上げた。


 いよいよ結果発表。総合司会の堺正章がライブビューイング分の投票ボールを入れ忘れてしまい、まさかの同点引き分けになりかけるというハプニングもあったが、最終的には、紅組が6対5の僅差で勝利。紅組は、第2回ぶりの勝利となり、対戦成績を紅組2勝、白組4勝とした。最後は卒業を間近に控えた島崎遥香がセンターを務める「ハイテンション」を、その場にいるメンバー全員で熱演し、長時間に渡ったライブの幕が下りた。


 この“もうひとつの紅白”の勢いそのままに、『NHK紅白歌合戦』ではどのようなパフォーマンスを繰り広げるのか。先日投票の中間発表も行なわれていたが、まだもう少し投票期間は続く。(佐藤 仁)