子供のころ、大人から「話す前によく考えなさい」と言われたことはないだろうか。思ったことを口に出してしまい、思わぬトラブルになってしまった経験をした人もいるのでは。
はてな匿名ダイアリーに12月上旬、興味深い投稿が寄せられた。「たいていの日本人は考えて喋っていない」というタイトルで、投稿者は、考えてから発言する人の思考プロセスを以下のように説明している。
・その話題が意図するところを捉える
・その意図への適切な答えを探す
・その答えの適切な表現を考える
「喋っているから」だけで評価されるから会議の生産性が上がらない
投稿者は、日本の会社で行われる会議の生産性が低いのは、考えないで喋る人が何人も参加しているからだ、という持論を展開する。それぞれが思いつきで喋って時間が過ぎていき、議論が深まらず、結果として答えも見つからない、というのだ。
また「考えていない人」にとっては、思ったことをただ口に出すのが当たり前と思っており、思考する時間を勘案せずにすぐ喋る人が良いと思っている点を取り上げ、
「そのような人が『喋っているから』とだけで評価される。ますます『考えていない人』が幅を利かすようになっていく。ここが日本の会社のダメなところだ」
と指摘した。会議参加者が論点を把握せず、頭に浮かんだことを喋るだけでは何も決まらない。投稿者はアメリカで2年ほど働いた経験があるというが、そこでは「考えるための時間」を取るのが当たり前だったという。「喋っていないやつは考えている」という意識があり、雑談でも黙る瞬間が何度もある。会議でもそうやって議論を深めていくのだそうだ。
「考える行為は、それが見た目には活動的ではないので誤解される」
この投稿には約1400件のブックマークがついた。投稿内容に同意する人が多いようだ。
「思いつきで喋ってる人は、考えてないことで時間浪費して問題だし、他人の言葉尻をとらえて不毛な問答を生じさせてしまうことも問題。で、時間切れになったら、あとはいい感じにやっといてになることが最大の問題」
日本には、「ぱっと相手をやり込める発言をするのがディベート強者」という認識がある、という指摘も出ていた。理屈ではなく、即座にそれっぽいことを言う瞬発力が評価されがち、ということだろうか。そうした文化が議論での言葉の貧しさにつながっているとしている。
ほかにも、「考える行為は、それが見た目には活動的ではないので誤解される。しかし、考えることにこそ物事の突破口がある」という声があった。適当にべらべら喋るだけで結論が出ない会議にウンザリしている人が相当数いるようだ。
一方で、
「黙っている人は『考えているが何も発言するつもりがない』か『何も考えずに喋る人よりもさらに何も考えていない』場合もある」
という反論も見られる。ほかにも「概ね同意するけど、大抵の日本人で黙ってる人って、考えてもいないと思う」と書く人もいた。この人物はその理由を、「考えて行動した結果、失敗したら責任取らされるから言われたことだけやる人が多いのかなぁって思う」と書いている。
日本で、会議の内容を深めるためにはまず、考えることを促すとともに、主体的に参加したくなるような空気を作ることが大事、ということだろうか。